不登校や発達障害のお子さん/ご家族が集まるBranchでは、様々な課題について話し合いがされています。
今回は「先生が怖くて学校行きたくない」と言う場合にどうすればいいか。
Branchを始めたばかりのころ、保護者の方にお子さんについてお話を伺った際、下記のようなことをお伝え頂いたことを思い出します。
小学一年生の一学期、学校の先生からみんなの前で激しく怒鳴られ、それ以降学校に行けなくなり、更に家族以外の前では話せなくなりました。今もずっと吃音です(小学五年生時)。
一人の人の人生を大きく動かしてしまった出来事に、お話を聞いているだけで怒りの感情が湧き激しく動揺したのを今でも思い出します。
Branchは学校や先生に対して負の感情が向くような記事は避けてきていましたが、今回は一つの事例としてまとめていきます。(こういう先生ばかりではないことは、読者の方は良く分かっていると思いますので)
お子さんはどんなことが嫌だったのか?
まずは、Branch保護者さんからのコメントを元に「お子さんがどんなことが嫌だったのか?」をまとめていきます。
- 小学校入学式前日に会場の下見をし、担任の先生にもお会いして発達障害のことを伝えておいたのにもかかわらず、国語の授業でノートをとることができなかった時に、「そんなことも出来ないの?」と言われたとのことで、国語に苦手意識を持ってしまいました。2年生も同じ担任になり、9月から不登校が始まり、オンラインで朝の会の様子を見ていますが、児童を褒めることが少なく、早口で冷たい印象を感じました。保護者の私にとっては、言いたいことをはっきり言ってくれて引きずらないので(というか言ったことを忘れてしまう?)、割り切って付き合えますが、HSC気質の息子には合わなかったのでしょう。いろいろと自信を失ってしまいました。
- 学習が早い子と遅い子をはっきりと区別し、能力主義で序列化する先生でした。その時は子どもが荒れて自傷行為もあり、大変でした。
- 小学校入学して初めての男の先生は口調も少し威圧感がある方でした。母子通学していた時に、私が息子に黙って先に帰ろうとしたら、教室を飛び出して追いかけてきました。先生は「危険だから勝手に教室を飛び出したらダメでしょ!」と私の前で息子を怒りました。危険なのはわかりますが、私から離れるのが嫌で追いかけて来たので、気持ちを受け止めてほしかったですし、諭す様に声を掛けて欲しかったです。なので、先生に「優しく伝えてください。」と伝え、息子には「勝手に出るのはダメって知ってるよね?」と言うと、先生から「分かってないでしょ!!」と、言われました。その次の日から、不登校になりました。
- 当たり前かもしれませんが、何かを強制しようとする先生は相性悪いです。
- 幼稚園に入る前、市の療育施設に通っていた時の古株の先生と相性が合いませんでした。息子の行き渋りが激しかったため「しばらく療育を休んで様子を見たい」と話をしたら「様子見てどうするんですか?」と言われ唖然としました。まだ3歳の子どもに振り回されてどうするの?という雰囲気でした。
- 合わなかった先生は話を聞かず自分の意見ばかり伝えてくる先生、怒鳴る先生でした。 萎縮してしまい全く無理でした。
- 週一で小学校に放課後登校していた頃、だんだん行くのが嫌になりました。その時に「このままだと行けなくなって後で学校に余計戻りにくくなりから、少し強引にでも連れてきてください」と言われて、まだ私も連れて行かなければと思っていたので、連れて行っていたのですが、それが一番良くなかったです。顔もこわばり車からも降りられず学校への信頼がなくなり息子の元気が本当になくなった出来事でした。
- 息子は厳しい先生や怒る先生が嫌いです。怒られたり厳しい態度を取られる事で、余計に反抗的になります。その先生の授業に出ないなど拒否をするようになります。
- 息子は女の先生なら会いたくないと言っています。幼稚園、小学校の先生は女性でした。本人曰く、「女は嘘つきで話を聞いてくれない」だそうです。登校の際、学校の門までと言っていたのに教室に連れて行かれたり、先生と特急電車の通過を一緒に見ようと言っていたのに、(電車が遅れてしまい)会議があると先生が帰ってしまったり。そういうエピソードはずっと覚えています。
コメントの内容を元に、まとめます。
- できないことを指摘する先生
- 高圧的な先生
- 何かを強制してくる先生
- 話を聞いてくれない先生
- 無理に学校へ来させようとする先生
- 厳しい先生
- 怒る先生
- 約束をやぶる先生
まとめると、普通に「人として、嫌だな」という行為ばかりです。
大人数をまとめないといけないという事であったり、所属する学校側の指導方針が「生徒はしつけるもの」という形になってしまっている、など原因はたくさんあると思います。
ただ、大人に対してだったらやらないことを子どもにやっているのだとしたら、それは間違っていると思います。
大人はどんな対応をすればよいのか
では、お子さんから信頼を得るため、大人はどんな対応をすればいいのか?
信州大学の本田先生がヒントになることをおっしゃっています。
「まずは先生に相談してみよう」と言って連れて行って、相談した上でできることをやっているというのは、試みとしては悪くないと思います。
ただこれは一つだけ条件があって、先生が「相談して決めたことをちゃんと守ってくれる」場合ですよね。
子どもから見た時に例えば、「まずは先生に相談してみよう」って言ったのに、先生が相談してくれずに無理やり強引に教室に連れ込んだとかね。
あとは、先生と相談はしたけれども「今日は調子良さそうだからついでにこれもやってみよう」みたいな事を、後から言われたとか。
そういうことが一度でもあると、大人に対する不信が一気に高まってしまって、学校に行かないどころか親や先生との話するのも拒否するみたいになっちゃう方がいるんです。子どもにも「有給休暇」があっていい:学校への行き渋り対応 – 本田秀夫先生インタビューより
なので、いくつか選択肢があって、その中で「今日はどうする」っていうことを子ども自身でちゃんと選んで、子ども自身が一旦選んだらそれを周りが尊重するという形を、とにかく丁寧にとっていくということが大切です。
シンプルに「言った約束はしっかり守る」というのはとても大切です。
これも当たり前のことですね。
大人に対してだったら当たり前にやることを「子ども相手だったら、約束をやぶっても覚えていないだろう」「さっき言ったことと違うけど、少しぐらいいいよね」と、子どもに対して敬意のない態度で接しているのであれば、それはやはり間違っています。
子どもはどんな先生だと信頼するのか?
次に、ここもBranchの保護者さんのコメントを元に「子どもはどんな先生だと信頼するのか?」をまとめていきます。
- 支援級で3年同じ担任です。本人が怖がらない距離感で粘り強く接してくださり、不登校の学校嫌いが今では毎週オンラインで1時間ほどお話し+学習ができるようになりました。ゲームの話が通じることもあり、相性もよかったのだと思います。なんでも褒めてくださり、怒られたことはないと思います。
- 今年は良い先生に当たって、特に入学直後の授業中に立ち歩くことがあっても注意せずに見守っていただいたようです。 個人面談のお願いも快諾していただいて、お話しする時間を作っていただけますし、そこで聞く指導方法も子ども本人に気付きを促す形なので、安心してお願いする事ができています。
- 優しく、気持ちを聞いて共感してもらえる、相談すると助けてくれる先生のことを信頼できるようです。 相手の気持ちに敏感で察する力があるようで、先生のことをよく観察していました。 学校内では特別支援教室の先生だけに信頼を寄せていました。
- 今年度の担任の先生は明るく前向きな発言が多く、よく褒めてくださるので、会うと娘も私も元気になれます。娘はたまに放課後登校するだけですが、その「たまに」が継続できているのは先生のキャラクターのおかげだと感じています。
- 翌年は、息子との関係をしっかり作ってくれる先生に恵まれ、行き渋りもなくなり、気持ちに波はあるものの楽しく通えるようになりました。先生との相性の大切さを感じた出来ごとでした。
- 小学1年の時の通級の先生を息子が大好きでした。 欠席をした担任の代わりにクラスに来た時は嬉しくて走って先生にギュッと抱きついたりしたようです。後から息子に聞いたら「内緒なんだけど、通級のとき僕の好きなYouTube見せてくれたことある」とニコニコの顔で教えてくれました。息子に必要なのは、正しさより優しさ、ユーモアだよなぁと思いました。
- 話しを聞いてくれて、共感してくれる大人を察知する能力は高くすぐ心を開き、自ら話し始めます。 女性でも男性でも優しい雰囲気でゆっくり待ってくれたり、大丈夫か声を適宜かけてもらったり、認めてもらえる声かけをしてもらえるととても安心するようです。
- 中学校では本人の好きなことに着目してくれている。それを認めてくれている→週一くらいの登校が続けられている
- 5年生のときに赴任された保健の先生は小学校での二年間大変お世話になり、出会えたこと、ラッキーやし、命の恩人と本人も言っています。 時々保健室(別室)登校して、じっくりと話をきいてもらっていました。親の私もとても助けていただきました。 中学生になってからも精神的に追い詰められたとき、自ら2、3回電話していました。
こちらもコメントを元に、まとめます。
- 子どもが怖がらない距離感で接してくれる先生
- 子どもの好きな話を聞いてくれる、共通の好きなことがある先生
- 注意せずに見守ってくれる先生
- 子ども本人が自ら気づくようなコミュニケーションを取ってくれる先生
- 優しい先生
- 気持ちを聞いて共感してくれる先生
- 相談すると助けてくれる先生
- ユーモアのある先生
- ゆっくり待ってくれる先生
- 大丈夫か声をかけてくれる先生
- 子どもを認めてくれる先生
- 子ども本人の好きなことに着目してくれる先生
総じて言うと「子どもに敬意を持って接してくれる先生」「大人に対する態度と変わらず、気持ちのよい対応をしてくれる先生」という形でしょうか。
上記に書いてあることは、普通に大人がしてもらっても嬉しい行為です。
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「先生が嫌い/先生に怒らるのが嫌だから学校行きたくない」と言われた際の対応方法
次に、お子さんから「先生が嫌い/先生に怒らるのが嫌だから学校行きたくない」と言われた際の対応方法について考えていきます。
課題を分けて考えます。
まずは「学校休んでゆっくり考えようか」とお子さんに伝える
まずはお子さんのメンタルに対する対応です。
学校に行きたくない時、休みたいとお子さんから言われた時やっては行けないのは
- 登校刺激をすること
です。
ですので、
- 登校刺激を避け
- まずは「学校休んでゆっくり考えようか」とお子さんを休ませる
- 回復してきてから原因についてじっくり聞いてみる
という流れがお子さんに対する一番最初のステップです。
学校へ配慮の依頼をする
今回の場合は
- 先生が怖い。先生に怒られた。
という形で、理由が明確にあります。
担任の先生に直接お伝えするか、校長先生などに伝えるかして、本人の状況を伝え配慮の依頼をしましょう。
ただ、この記事を読んでいる方の場合、ここまでやった上で配慮されていない方もいらっしゃると思います。
もし、それでも学校へ戻ることを希望する場合は下記のような対応を取ることもできます。
校長でもダメだった場合、教育委員会へ
最初に書いたように、先生から怒られて吃音になり、人と話せなくなるようなお子さんもいます。
これは心理的虐待です。
この風潮を放置している学校こそ変わるべきですので、様々な手を使ってこの風潮を変えるべく動くという考え方もあります。
とても体力がいることですが、ここでも本田先生のお話を参考に載せておきます。
だから学校がこのお子さんの事を全く理解していないというところの問題があると思うんです。
僕は割と研修会とかで学校のことをあまり良い言い方をしないことが多いんですけど、学校の先生、個人個人で見た時にはとても理解のある先生って大勢おられるんです。
一方で全く理解のない先生もいるのも事実なので、こういう学校生活を送るっていうのは僕から見るとルネッサンス以前の学校っていう感じがします。
僕も時々こういう学校にあたってなんか怒りまくることがあるんですけど、あらゆる圧力を使ってこの学校の風潮を潰すべきでしょうね。
どうやって潰すかが問題なんだけど、いろいろ作戦立てるしかないですよね。
必ず自治体の中には、発達障害のことや特別支援教育のことに詳しいコーディネーターの先生などがいるんですよ。
僕がよくやるのは、まずは校長に圧力かけることですし、校長がダメ校長だったら教育委員会ですね。
市町村の教育委員会がダメだったら今度は県の教育委員会あたりに「ちょっとこれ困るんだけど」ということはやっぱり言いますよね。
とにかくこれは虐待ですからね。
基本的には、心理的虐待の中に入ると思います。
このように、教育委員会などに学校や先生の現状を伝えていって、風潮をかえていくべく動くことも考えてみてください。
まとめ
この記事を読んでいて、今まさに同じような状況にいる方は本当につらいお気持ちでいるかと思います。
相談できる方が周りにいるのであれば、相談して一人で抱え込まないようにしてくださいね。
また、合理的配慮をどのように得ていくかは別記事に詳しく書いていますので、そちらも参考にしてみてください。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
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