お子さんが「学校に行きたくない」と学校行き渋りを始めると気になるのが「何が原因で学校に行きたくないのか」ということですよね。
今回の記事では、統計なども使って、実際にどのような気持ちでお子さんたちが学校に行きたくないと言っているのかを探っていきます。
また、そんな子どもの気持ちに対して、親がどう対応を取るべきかもお話しします。
不登校児童生徒の実態調査
まずは文部科学省から発表されている『不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書』より、なぜ学校に行きたくないのかを探っていきます。
最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけは、多岐にわたる。一番割合が高いものは、
不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書
小学生は「先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)(30%)」、
中学生は「身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)(33%)」である。
学校生活のいずれかがきっかけの児童生徒は 8 割弱。身体的な不調や生活リズム変調が
きっかけは 4 割強。
2 割強(小学生(26%)、中学生(23%))は、「きっかけが何か自分でもよくわからない」
と回答している。
小学生を見ていくと、まず「先生と合わなかった」という理由が大きいです。
「友達のこと(いやがらせやいじめがった)」「身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)」「生活リズムの乱れ(朝起きられなかったなど)」と続き、
4番目に大きい理由として「きっかけが何か自分でもよくわからない」とあります。
後に書きますが、身体の不調や生活リズムの乱れも「理由は分からないけど学校に行きたくない。
それが身体や生活リズムに影響している」と言えそうです。
なぜ学校に行きたくないのか?
本人も理由をはっきりと分からない・話せない状態での不登校や登校しぶりについて、年次ごとによく見られるパターンや対応方法を解説します。
小学校低学年の場合
お子さんの年次が低い場合は、そもそもの発達段階として
気持ちや理由の言語化がまだ難しい
という場合が多いです。
「学校行きたくないんだ」
「なんで?」
「分からない…」
こういう場合、無理に問い詰めるのではなく、言語以外のお子さんのシグナルに注目することが大切です。
- お腹が痛い
- 服が着られない
- 夜眠れない
などの身体症状が先に出ている場合があります。
こういったときは原因を追求しようにも、言葉にするのが難しいので、まずはお子さんの体や表情を見て休ませてあげましょう。
小学校高学年以降の場合
小学校高学年以降の年次でも、理由がはっきりしない不登校・登校しぶりが起こることがあります。
言語化する力はあるけれど、言語化できない・したくない理由がある
という場合が多いです。
例えば、
・親に「なんとなく学校に行きたくない」と言ったら「それは甘えだ」と言われて「自分でもそうだと思い直して反省している」
→けどやっぱり行きたくない
・親や先生に「いじめとかあるわけじゃないけど、学校に行きたくない」と言ったら「先生が中学生の頃も同じようなことがあったけど、○○して頑張ったよ」と言われて「自分もそうやって頑張らないと」と思った
→けどやっぱり頑張れない
・学校に行くとモヤモヤする
→本当は人の輪に入っていくことが億劫だったり怖かったりするけれど、そう思うことは「学校の雰囲気的に良くない」と思ってしまっている
などです。
学校に行きたくない理由を言語化する能力は持っているけれど、
主に周りの影響で「そう思う/言うことはよくないこと」とされていて、言語化することをためらったり、葛藤したりしている状態です。
親が取ってはいけない対応
理由は分からないけれど学校に行きたくない……。
そんな小学生のお子さんに対して、取ってはいけない対応を以下に説明しています。
無理やり学校に行かせないようとする。
無理やり学校へ行かせようとする、登校刺激を行うことはNGです。
子どもが「学校行きたくない」と言い出すのは、実はとても勇気のあることです。
多くの心のストレスを溜めた状態で、親に相談してきています。
登校渋りっていうのは子どもさんにとってはもう「学校に行きたくない」の最終段階なんです。
親御さんからすると問題の始まりに見えるけれど、これは子どもさんから見ると問題の最終段階で、「行かなくなった」というのは「“学校に行く自分”っていう人生を捨てた」という、もう最後の段階です。
そんな状態の子どもに対して、親が強制的に学校へ行かせようとすると、子どもは親のことを恐れてしまいます。
味方であると思っていた親がそのような態度をとると、子どもは今以上に、対人関係で怖くなってしまいます。
また登校のストレスが増すことから、子どものメンタルも崩れてしまい、
今よりも癇癪がひどくなったり、ベランダから飛び降りようとする、なんてことも起きてしまい、学校どころじゃなくなってしまうことも。
一度崩れてしまった心を取り戻すには時間がかかり、登校させたい気持ちで行動したつもりが、
さらに行き渋りを加速させてしまう、、そんなケースがたくさんあります。
無理やり理由を知ろうとする。
子どもが学校へ行きたくない理由を知ることは大事です。
簡単に「何が嫌なの?」と質問してみるくらいは大丈夫ですが、
すぐにこの現状を解決しないと!と気合いが入り、
なかなか理由を話さない子どもに対し、問いただすように聞き出すのはNGです。
子どもによっては、学校でした辛い思いを引きずっている可能性があり、親がそれを無理やり引き出そうとすると、
その記憶がフラッシュバックして、さらにメンタルがダウンしてしまう可能性があります。
フラットにお子さんを認める
上記のように、学校へ行き渋りを見せた子どもに対して、
- 「学校を休むことは悪いこと」という意識を植え付ける
- 「私だったらこうするよ」というアドバイスをもとに学校に行かせようとする
- 「周りに合わせられない自分を許してはいけない」と思わせる
などをすると、
「行けない理由を子ども自身が見つける」という能力を奪うことになりかねません。
よくあるのが、「あなたの意思を尊重する」と口では言いつつも、
子どもの将来への焦りや不安から、無理やり学校へ行かせようとしたり、問いただすように学校に行きたくない理由を探ってしまうケース。
そうなる気持ちは確かにわかりますが、フラットに、その時のお子さんの様子、言動、表情を見て、お子さんのそのままを認めてあげることがまずは大事です。
「なんとなく」でも、学校に行きたくない理由があるのです。
親が取るべき対応
ここで、理由は分からないけれど学校に行きたくない小学生に対して、親がとるべき行動を説明していきます。
1.まずはゆっくり休ませる
理由ははっきりしていないにしろ、子どもが学校へ行きたくないと言うのは勇気がいること。
そう言ってきた時には、子どものメンタルが深刻になっている可能性が高いです。
おまけに身体症状などが出ている場合は、SOSのサインが身体から出ているので特に危険です。
まずはシンプルに、ゆっくり休ませることが大事です。
2.少しずつ、理由を探る
メンタルが少し落ち着いてきたな、と思ったころから、子どもがなぜ学校へ行きたくないのか、理由を探っていくと良いでしょう。
聞いてみても答えない場合は、以下のような工夫をするのがおすすめです。
・兄弟や叔父、叔母など、子どもにとって話しやすい人がいたら、その人に学校へ行きたくない理由を聞いてもらうようお願いする。
・学校の先生に、子どもの様子はどうだったか、聞いてみる
それでも小学生低学年の子は特に、言葉にして説明するのが難しいと思います。
ですので、「もしかして…」と何か気付けるように、いつも以上に子どもに注意を向けられると良いでしょう。
3.理由に対してアプローチをする
子どもが学校へ行きたくない理由がわかったら、その理由に対してアプローチを考えましょう。
まずは学校側に配慮をお願いして、子どもが過ごしやすくなるよう行き渋りの原因に対応した環境を、整えてもらうのがおすすめです。
・苦手な先生がいて、その人が嫌で学校へ行けない
→その先生の授業以外の時間で、部分的に登校できるよう、学校側と調整する。
・友だちとの関係がギクシャクしている
→学校に相談。いじめが起きているのか調査してもらう。
→友だちとどうして仲が悪くなってしまったのかを調べるため、担任の先生を通して相手の子の保護者とコミュニケーションを図ってみる。
・給食が嫌い(このケース、意外に多いんです)
→うちの子だけ、お弁当にしてもらったり、または午前登校にしてお昼ご飯からは家で過ごすなどできないか、学校と相談する。
・周囲の雑音が苦しい
→イヤホンをつけるなど、雑音で耳にストレスがかからないようにする。
→席替えをして、うるさい子から席を離してもらう。
他にも学べる場所、居場所を用意する。
学校に行きたくない理由に対し、アプローチしていく上で、担任や校長先生に相談を投げかけることはあると思いますが、
上記の例のような、一人の子どもに対しての特別な配慮を許可してくれないケースも多いです。
ですので、あらかじめ親の方で、学校の他に、子どもが学べる場所や心が落ち着く居場所を選択肢として用意しておくのをおすすめします。
例えばフリースクール。たとえ不登校でも出席認定をもらえるケースもあります。
まとめ
以下のような内容でしたが、いかがでしょうか?
少しでも参考になれば幸いです!
小学生が学校に行きたくない理由
低学年:まだ言語化できていないことが多い
高学年:言語化したくないケースが多い
NGな対応
・登校刺激
・行き渋りの理由を無理に聞き出す
OKな対応
・ゆっくり休ませる
・理由を探していく
・見つけた理由に対してアプローチ
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