Branchユーザーさんからの「不登校」や「行き渋り」に関する質問を、本田秀夫先生(信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授)にお尋ねしました。
その内容の一部を紹介していきます。
YouTube▷「学校行きたくない」の言葉は子どもにとっては問題の始まりではなく最終段階【信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授本田秀夫先生】
保護者からの質問「自分の気持ちを人に話しません」
息子は3年ほど前から不登校になり、一時は家族以外とは会うことも話すことも嫌がっていました。最近は家族以外の人と会う機会もできてきたのですが、自分の気持ちを話しません。いつか支援者の方と相談事を話す時が来るのだろうと思っていますが、それを待つ間私(母親)は不安です。何か私と息子が楽になるようなアドバイスをください。
本田秀夫先生の回答
不登校のお子さんが自分の気持ちを話すようになるのは中学後半
学年によるんですけど、経験的に不登校のお子さんが自分の気持ちを話すようになるのは、中学生の後半です。
「本当はこういう気持ちだったんだ」とかね。
今こういうのが嫌だから学校行きたくないんだとか、自分はこんなことで悩んでるんだとか。
そういう本当にちゃんとした言葉で話せるようになるのっていうのは、小学生のうちは無理ですよね。
だから私の場合は、外来診療に親御さんと子どもさんが来られて一緒に話すこともあれば、それぞれ別々に話すこともあるんですけど、大体中学2年生くらいまでのお子さんで「今日はこういうこと相談したいんだけど」とかって相談事をちゃんと持ってきて話す人っていうのは1割ぐらいです。
大概は親御さんが話したいから、ついでに付いてきてやってるみたいな形で来てる人が多いので、来たら義務のように私とはちょこちょこっと話しますけど、特に今日は何もありませんっていうのでおしまいになっちゃうことが多いです。
どちらかと言うと悩み事を話すよりは、最近ハマってるゲームの話をしたりしておしまいになっています。
もう一方で、親御さんとは色んな親御さんの不安についてお話をしたりするわけですけど、中には子どもさんはもう来なくなっちゃって親御さんだけが淡々と定期的に来られるっていう状態が続く方もおられるんですけど、中学2~3年になった頃に子どもさんの過半数は自分でも何かしら相談事が出てくるんです。
特に中学3年生になると進学のことがちょっと不安になったりするので、そういったことを診察の場でお話になる方が多いですよね。
そういう意味では小学校ぐらいからずっと不登校で関わってる方だと、中3ぐらいになってくると結構話せるようになります。
ただ、それまでの間に親御さんが不安のあまり焦って子どもさんに何か働きかけちゃったり、病院に来た時に「ほらなんか医者に話しなさい」みたいなことを促しちゃったりすると、子どもが親対策で消耗するんですよね。
子どもが親対策で消耗してエネルギーなくなっちゃって相談する意欲はなくなっちゃいますよね。
だから親御さんは話したいことがあるから相談に行くけども、あんたついでについてきなさいぐらいで構わないし、帰りにどこかで買物でもして帰るからそれを餌につって来るでも構わないです。
そうこうするうちに子どもさんが変わってきます。
このご質問の親御さんで一番大事なのは、このお母さんの不安に対応した愚痴を聞いてもらえるようなことでも構わないので、相談をして、今のままで別に構わないんだという話を誰かがしてくれるといいですよね。
親御さんの不安に対応した話を聞いてくれる場を求められるのが良いんじゃないでしょうかね。
いかがでしたか?
似た心配事を持つ保護者の方は多そうですが、子どもが自ら相談するようになるまで待つしかないですね。
親御さんご自身の不安を軽減できる場所を探していきましょう。
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