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読み書きの困難さのあるお子さんとの関わり – 抱え込まずに相談することで支援の方法が見えてきた。目の前の困難に”いま必要なこと”を考える大切さ

Branchオンラインフリースクールの保護者の情報交換の中で、お子さんの“読み書きの困難さ”のお悩みが話題にのぼることがあります。

今回はメンターサービスを通して、作業療法士であるBranchメンバーの小堀宛てにいただいたご相談と回答を紹介します。

書きたいのに書けないもどかしさを抱える子ども。保護者や担任の先生はどう対応したらよいのか(Aさんの相談内容)


Aさん:
小学校入学後に読み書きの難しさが発覚し、なぞり字プリントなどに取り組んでも、はみ出てしまってなかなか上手く書けず、本人も嫌がり始め、私も疲れてしまいました。

病院での検査時に「スモールステップで」と言われていたので、宿題は「とりあえず書くだけで良し」として、細かいことは学校にお任せすることにしました。結果、担任の先生からは、全ての修正は求められませんでしたが、数ヶ所は書き直しのが指摘ありました。

それも本人には受け入れ難いようで、自己肯定感が低くなっているのがとても心配になりました。スモールステップとは言っても、果たしてこのままでいいのかという思いもあります。漢字に興味があり、書きたい気持ちがあるのは分かっていたので、Branchの保護者や小堀さんのコメントを読んでもう一度向き合おうと思いました。

目次

Aさんのお子さん(Bくん)の現在

・字の形に興味はある
  例:「この字知ってる!見た事ある」「何年生で習うの?」「ハングル文字を書きたい」
・読み書き(特に書くこと)が苦手
・書くときに枠からはみ出る、筆圧の強弱がある
・お友達と同じようにキレイに書きたいが、上手くいかないと気持ちが乱れる
 例:ノートを破る、鉛筆で真っ黒に塗りつぶす、面倒くさいと言う、怒る、泣く
・書き直しをすごく嫌う
 例:「こんなに僕は頑張ってるのに何で消すの?」「(僕は)バカだ」と言う
・医療機関の検査結果では、学習障害ではないと言われている
 

相談内容のポイント


◇将来字が書けるようになるのか、働いて自立することができるのか心配。
◇今のペースで良いのか、何から取り組めば良いのか分からない。
◇担任の先生も対応方法に悩んでいる。
◇学習障害の診断はおりなかったが、もう一度検査を受けた方が良いのか?

「文字学習」と「手先を動かす能力」とを分けて考えてみる(作業療法士・小堀の回答)

お話の中で手先の不器用さも伺えたことから、「文字学習」と「手先の不器用さ」とを分けて捉えることが必要かと思いました。Aさんも担任の先生も、悩みながら一生懸命に対応されている様子。Bくんが自信を持って興味のあることを楽しく続けていくにはどうしたら良いか考え、以下のようにお答えしていきました。

  1. まずは文字に親しむ、読める字を増やすことが大切
  2. 文字を“覚える”と“書く”の要素を分ける
    覚える:アプリ等の活用
    書く:目と手の運動コントロールの底上げ
  3. 書きやすい環境の工夫(大きな枠、紙やすり下敷きなど)
  4. 音読や日記は、すでに学校や家庭で工夫されている方法の継続がよいと思う
    音読:単語ごとに枠線で囲む、ものさしで他行を隠すなどの援助
    日記:Bくんの口語を保護者がまとめてホワイトボード記入→Bくんがノートに書き写し
  5. 本人にとっての目的や興味関心、身近なことに沿った学習を取り入れる
    教科書などの順番通り「くまなく学習すること」にこだわらなくても大丈夫
  6. 興味のあることにトコトン打ち込むことで、別のことへの興味や知識も自然と広がっていく
    友達、年上のお子さん、メンター等との出会いによって興味が広がる可能性もある
  7. 今後、自己理解の育ちに期待する
    過去の自分より成長したという実感、得意・不得意から自分なりの対処を身につける
  8. 検査はあくまでその時の状態を反映するもの、本人の困り感は変わらずある
    今は「診断」にとらわれ過ぎず、現状の理解から合う方法を探ってみてはどうか

ちょっと大事な?裏話


実はこの時、「将来字が書けるようになるのか」というAさんの問いに上手く答えられず、言葉を濁してしまいました。それから数週間、モヤモヤとしたものが残っていて…オンラインフリースクールのコメントを遡りいろんな方の状況や意見を見直して、ふと言葉が浮かびました。

「無理に書かなくてもいい、でも諦めることはしない」

代替手段を活用しながら、書きやすい環境も整えた上で、あとは本人のペースや興味を尊重して、行けるところまで。この言葉を、次の機会にAさんにも伝えることができました。
 

読み書きを「文字に親しむ行為」と考えてみる(相談後のAさん親子の取り組み)


小堀からの回答・アドバイスを踏まえて、その後Aさんはお子さんと一緒に以下のように取り組まれたそうです。

1.文字に親しむ機会を増やす

・小学生で習う漢字の本を購入し「この漢字はいつ習うの?」という質問に答える。
・ホワイトボード
 漢字の成り立ちを書く、習っていない漢字を真似して親しむ。
・漢字クイズ
 本人が書いて親が読み方を答える。きちんと書けて無くても推測する。間違うと喜ぶ。
・絵と漢字ごちゃ混ぜしりとり
 クールダウン兼ねての遊び。漢字の宿題中に集中が切れる前や切れた時、手が書くことに疲れてしまった時に行う。絵を描くのが好きなので主に絵描きが中心。

2.文字を“覚える”と“書く”を分けて考える

・覚える
 本や図鑑で漢字が読めるようになると、いろんな事がわかり楽しくなる。
 スイッチやiPadのひらがな一覧で文字を打つ、打つのに慣れる。音声入力もよく使う。
・書く
 月2回通っている医療リハビリの意味を改めて理解した。今までは、ただ子どもが大汗かいて遊んでいるだけだと思っていたが、リハビリの計画書を見ると全身運動から“目と手の運動”も入っていた。

3.書きやすい環境設定

・紙やすり
 100均で購入し、下敷きの片面に両面テープで固定。抵抗感=書いている感覚が分かり、枠に入りやすくなった。
・拡大コピー
 先生からの提案で、漢字の書き取り見本と計算プリントを見やすくした。
・適切な課題設定
 問題数は本人に合わせた7問なので、4問ぐらいになると、「あと3問で終わり。やった!ゲームできる。がんばるぞ」と見通しがもてる。同じ漢字ドリルを繰り返し取り組んでいるため、徐々に理解度も上がり本人も理解できる事に喜んでいる。
・先生の花丸やコメント
 上記での取り組みやすさに加え、かなり効果あり。本人も「嬉しい」と言いやる気アップ。はみだしやミスを自分で書き直すようになった。
・自宅での工夫
 漢字の宿題は、学童や放デイといった集団の場ではなく、自宅で集中できる時間に横について一緒にする。本人の調子が良く一人で書けそうな時は、距離を置いて見守る。
・困っている時や新しい漢字はホワイトボードに大きく書いて見せる。本人なりの書き順で、上手く書けない時は書きやすい順番を教えるが無理強いはしない。

4.音読 

先生が教科書に色分けで囲み、ふりがなをつけて読みやすいようにしている。

5.本人の目標に沿った学習ルート

教科書順に基礎から全部、と思うより、「自分の名前を漢字で書きたい」「ハングル文字を書きたい」など本人の目標を見つけてそこを目指す。

6.いま興味のあることから広げていく

ゲーム/自衛隊/銃/エジプト/段ボール工作など、興味のあることはたくさんあるので、それらに関連した読み書き学習の機会を広げてあげる。

7.自己理解、成長の実感を持ちやすくなる関わり

去年書いた字を見せる、持久走の距離が伸びた、授業中座っていられるなど、自分で「成長した」と実感できるように話をした。そして、大げさなぐらい褒めました。

8.検査や診断について

検査は長い時間もかかり本人も親もしんどい。診断あるなしに関わらず、やりたいけどできない・困っている・不得意なことの代わりの手段を見つける。

環境と文房具などで工夫する。学校・保護者・本人が利用している学童や放課後デイで、情報を共有する(相談内容と回答を書面にまとめ、必要時口頭で伝えた)。担任も一緒に調べたり考えたりしてくれていたので、すぐに共有し実践できて良かった。連絡帳で頻繁に様子を伝え合った。

「うちだけじゃないんだ」が、行動する力になった(相談後のAさんの気づき)

Aさん:
今までどこに相談していいかわからず、諦めていた部分がありました。去年の診断時には「グレーゾーン」と医師から言われ、本人も学習についていけず、学校が楽しくなくて自己肯定感も低くなっていたと思います。どうしたら良いのか正解が欲しくて、あちこち勉強会に行って本やネットで調べてみるけど、上手くいかず落ち込む事ばかりでした。

Branchオンラインフリースクールの保護者同士のコメントを見て「うちだけじゃないんだ」と共感でき、メンターの小堀さんに思い切って相談し一緒に考えてもらって、実行することができました。

今は書き直しが減ったこともあり、やりたくないけどやり始めると以前より集中できたりします。できないときもまだまだありますので、その時の様子をみて無理はしません。調子悪いときは、私がノートに薄く書いて、なぞることもあります。先生にバレたくないようです(笑)

うちの子の特性を小堀さんに引き出してもらい、いま可能な方法を考えるようになれたことで前進できました。取り組むことはいろいろありましたが、書きたい気持ちに寄り添いさりげなくフォローすることが大切ですね。

読み書きで悩んでいるお子さんや保護者の方にとって、我が家の例をご紹介することで、少しでも何かお力になればと思っています。

子どもへの応じ方は更新されていくもの

小堀:
今回の相談を受けて、私自身も子どもたちの未来や今への向き合い方について見直す機会になりました。何より、お子さんのために考え行動するエネルギーに勇気をもらえます。

Aさんの場合はいろんな情報にアクセスして勉強されていて、でもどうすればよいのか分からず混乱してらっしゃるようでした。情報を整理して繋がりを作っていくことで、道筋が少し見えてきたと思います。

“今”何が必要なのか見極めていくことって、大変ですよね。でもきっと、正解はない…うーん、むしろ無数にあるのだと思います。お子さんの成長や変化に対して、その都度アップデートして考え直してゆくものなのだと感じました。

また、よく言われる「スモールステップ」と、実際に将来働く姿のことを考えて、Aさんは板挟みになってらっしゃる様子でした。似たような悩みを持つ保護者の方々も多いのではないかでしょうか。

今の積み重ねはもちろん大事だけれど、やはり不安。“指針”のようなものがあると心持ちがかなり変わってくると思います。「こんな選択肢や可能性もあるんだな」と思える、ちょっと身近なロールモデルのような存在との出会いが今後増えていったらいいなと感じます。

発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?

Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。

  1. 同じように「読み書き」に困難のあるお子さまや、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
  2. NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
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ライター/著者プロフイール

京都大学医学部人間健康科学科卒、資格:作業療法士 保育士
精神科病院、療育、訪問看護での勤務歴あり。経験を活かして、柔軟に創造的に、お子さんと関わっていきます。私自身とてもマイペースな子どもだったのですが、納得いくまで取り組むことを尊重し見守ってくれた大人の存在は、今でも心の支えです。 私もお子さんの可能性を信じ、個性に寄り添い、安心できるお話し相手になれたらと思います。そしてご家族のサポートも行っていきたいです。好きなことは、歌・ウクレレ・手芸・ヨガなど。ジブリや絵本の世界観、生き物や自然を観察することも大好きです!

会社概要

Company

社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


所在地

〒150-0034 東京都渋谷区代官山町9-10 Sodacco 2T02


株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


会社概要

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社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


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株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


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