こんにちは。
不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branchコミュニティ、保護者ライターの烏龍茶です。
学校に行くことが怖いと感じる子どもたちがいます。
子どもたちは朝、学校への出発時間を迎えると、不安や恐怖を感じ、胸が締め付けられるような気持ちになることがあります。
この記事では、「学校に行くのが怖い」と感じる子どもの気持ちを理解し、サポートする方法について探っていきます。
どんなことで「学校が怖い」のか
まずは、どのようなことが理由で学校が怖いのでしょうか?
Branchの保護者さんから寄せられたエピソードから、「学校が怖い」と感じるようになったきっかけや原因が見えてきました。
友だちが怖い
- 友だちからのいじめや暴言、からかいなどがあり、また同じ目に合うのではないかと不安になる。
友だちとのトラブルが続いた後に、「今日も叩かれるかもしれない」「友だちが怖いから行きたくない」と言う話をしていました。
入学時に隣の男の子が授業中に腕を叩いてきたり、「かわいくない」「字が下手」と娘にちょっかいを出したり、からかい続けた時に、学校が怖いと言っていました。
負けず嫌いのクラスメイトの女の子が「あなたの意見は全部違う」「バカ、頭悪い」と否定してくるようになり、怖いと言うようになりました。
- 他の子どもたちと同じ行動をとらないことについて指摘されたり、ダメ出しされる。
担任の先生と責任感の強いクラスメイトの女の子たちから、「学校に来なくちゃダメなんだよ」「カウンセラー室へ行くのではなく、テスト受けなきゃダメなんだよ」「お母さんと一緒に来てはダメなんだよ」「遅れて来ちゃダメだよ」など、他の子と違うことをやることを「ズルい」「サボっている」と言われた時。
クラス全体が、この人なんか変、悪いことしてる、というような空気感がありました。
学校に行きづらく、お休みをしたり、別室登校や付き添い登校をしている場合に、「どうしてなの?」「なんで来ないの?」など質問されることでプレッシャーを感じたり、嫌な気持ちになることがあるようです。
先生が怖い
- 忘れ物や支度が間に合わないことを、先生から叱責される。
- 先生が大きな声で怒鳴る。
「教室で先生が他の子に怒っているのを見るのも聞くのも嫌。先生を困らせるようなクラスメイトの態度や行動も嫌だ」と言っていました。
(においに敏感なお子さん、給食の時間)1年生の時の担任の先生は、「時間だから早く飲み込みなさい」とか、「ゴミを片付けるからそれを早く食べちゃって」とか、「もう捨てるね」と捨てられたりしたから怖かった。
敏感で繊細なお子さんは、周囲の子どもが怒られていると、あたかも自分が怒られているように辛く感じたり、他の子どもたちの行動が心配になったりするようです。
教室が怖い
- 教室のザワザワや、子どもたちの甲高い声が苦手で怖い。
- 感覚過敏がある場合は、多くの人が気にならない音や、光・においでも苦痛に感じる。
「学校怖い」とはっきり言ったことはありませんが、自由気ままに静かに過ごした夏休み明け、新学期の教室のザワザワや子供の甲高い声が苦手で、怯えた顔をし、教室に向かう足取りも重く、怖がっているように見えました。
放課後ごくたまにしか登校しないのですが、まだ下校していなかった数人の子どもたちがザワザワと声や音を発していただけで、「怖い」と耳をふさいでいました。
他にも、避難訓練のサイレンや、防犯ブザーの音、体育館や廊下の反響音を怖がるといったエピソードも寄せられました。
失敗が怖い
- うまく出来るか心配で緊張してしまう。
- 過去の失敗体験を思い出して、「また失敗したらどうしよう」と不安になる。
トイレに行くタイミングが分からずお漏らししてしまったようで、それ以来みんなから見られるのが怖い。
運動会、発表会など大きなイベントや発表のたびに自宅で泣いて嫌がっていました。
練習もバッチリだし、問題ないように見えるのですが、とても苦手なようです。
間違えないようにとか、完璧にやらなきゃみたいな緊張感も見てとれました。
「ちゃんとしていないといけない」が怖い
- 「ちゃんとしなさい」という言葉をかけられたり、言われたとおりに出来ていないと注意されたり、常に緊張が抜けない。
不登校になってから1~2ヶ月ほどたった頃に、息子が、「学校に行くと緊張するんだ。」と話してくれました。
具体的にどんな風に?と聞いてみると、「授業を頑張って聞かないといけないし、姿勢も崩しちゃいけないから。」と話してくれました。
中学校の入学式当日はやはり緊張感も最大でした。また、新入生歓迎会など非日常的な行事のある日は「緊張する…」と呟いていました。
登校班に遅れそうな時があり、泣きながら「間に合わない!遅刻する」と言っていました。
学校生活ではずっと頑張ることが求められがちな子どもたち。
「○年生はお手本にならなければならない」といったプレッシャーをかけられたり、先生や他の子どもたちの言うことを聞かなければならない状況に、次第に自分を見失っていくような感覚を覚えることもあるようです。
「見通しが立たない」が怖い
- いつ終わるか分からない、空き時間に何をすればいいのか分からない、どこまでやればいいのか分からない、など見通しが立ちにくい。
転校したばかりの頃は、使う道具がみんなと違うとか、ノートの取り方がよく分からないまま進んでしまうのもストレスだったようです。
最初の宿題が自己紹介カードの仕上げでしたが、「どの程度の完成度が求められているのか分からない(これではダメと怒られるかも)」と心配しているようでした。
学校は集団生活なので、予測不能なことや想定外の出来事が起こりやすいです。わけの分からない状態に身をずっと置かなければならない状況は、大人でも不安になりますよね。
親ができること
お子さんから「学校が怖い」と言われた時、また、言葉にならなくても、学校を怖がっている様子がみられる時、親ができるサポートはあるのでしょうか。
まずは気持ちを受け止める
一番最初にできることは、学校が怖いお子さんを「そのまま受け止める」ことです。
特に、「学校が怖い」が理由で行き渋りが見られる場合、親もなんとか登校させようとするあまり、つい「怖くないでしょ!」「そんなことが怖いの?」など、子どもの気持ちを否定するような言葉が出てしまいがちだと思います。
学校が怖いと感じることは、なにもおかしいことではありません。
親からすると、「そんなことが怖いの?」と思うようなことかもしれません。しかし、親と子どもは別々の人間です。
「怖い」と感じることは、人それぞれであることを忘れないでおきたいですね。
また、親自身の学校が怖かったエピソードを話してみると、「お母さんもそうだったんだ」「お父さんにもそんな時があったんだ」と感じて、お子さんの安心につながるようです。
「学校が怖いと思う気持ちは、変じゃないんだ」と思えることが、まずは大切なのではないでしょうか。
子どもの「頑張りたい」にどう対応するか
学校が怖い。それでも「行きたい」「行かなきゃ」と思っているお子さんは少なくないようです。
Branchコミュニティでも、保護者さん自身は「休んでもいいんだよ」と思っていても、お子さんに頑張りたい気持ちがあるため、どのように対応したらいいのか難しいという声が寄せられたことがあります。
このような時、どのような対応が考えられるのでしょうか。
お子さんに十分に元気があって、背中を押すタイミングである時には、次のようなポイントを押さえた言葉かけができると良さそうです。
- 学業も、学校に行くことも、「少しずつ」「自分のペース」で大丈夫であると伝える
- お子さん自身の良いところ、得意なことがちゃんとあることも伝える
- 「それでも怖かったら、いつでも帰ってきていいんだよ」と、逃げ道を作っておく
友だちとのトラブルがあって辛い気持ちだね。でも、自分自身を大切にしてほしいんだよ。自信を持って自分を表現することができるようになると、怖さも少しずつ薄れていくよ。それでも怖かったら、いつでもまた相談してね。
怖いと感じることがあるのは自然なことだよ。それでも学校に行こうと思っている○○がすごいよ。自分の感情を大切にしながら、少しずつ学校に慣れていくことを目指してみよう。それでもやっぱり怖かったらまた休んで戻ってきていいからね。
発表やイベントで緊張するのは自然なことだよ。でも、君は頑張っているんだから誇りに思っていいんだよ。失敗しても、それは成長の機会。自分のペースで取り組んで、少しずつ自信をつけていこう。
人が多い場所や新しい環境に慣れるのは大変だよね。でも、○○は頑張っているんだ。自分のペースで学校に通っていくことが大切だよ。少しずつ慣れていけば、怖さも薄れていくと思うよ。それでもだめだったらまた休んでいいから。
怖さを感じることは自然なことだよ。自分の感情を大切にしながら、少しずつ学校に慣れていこう。
なお、励ましの言葉は、お子さんの状態によっては、今の自分を否定されたと捉えることもあるようです。怖いと感じる場所に行くことは、大人でも大変なことです。
よくお子さんの状態を観察して知ることこそが、親にできる最大のサポートなのかもしれません。
学校に行き渋りがあったり不登校のお子さんの場合は、
進級・進学・休み明けのタイミングで「また学校に行ってみよう」→「やっぱり行くのが怖い」という感情になりやすい傾向があるようです。
私自身、自分の子どもたちを見守っていくうちに、頑張りたいという「気持ち」と、実際に「行動に移す」の間には、大きな距離があると実感するようになりました。
行きたいけど、行けない。やりたいけど、やれない。
行けなかったとしても、それを責めないで、その時点のお子さんの状態を受け入れる言葉をかけてあげることが、安心が貯まる近道なのではないでしょうか。
行こうと思っても、できない時はあるよね
学校に行こうと思ったことが、お母さん・お父さんはすごいことだと思うよ
親も振り回されるけれど、「一番辛いのは子ども」という気持ちを持っておかないと、子ども自身を責めることにつながりやすい。
これは私自身の戒めにもなっています。
親自身が辛い気持ちを吐き出す場所を確保しておくことも、とても大切だと思います。
学校という環境に慣れていくことで、確かに怖い気持ちが薄れていくこともあります。
「学校に来てしまえば、元気に過ごしていますよ」と先生に言われると、「そうなのかなぁ」と親も戸惑ってしまいますよね。私もそうでした。
ただ、発達特性や感覚過敏から「学校が怖い」という気持ちになっている場合は、慣れることで「克服する」を目指してしまうと、我慢や過剰適応になってしまうことがあります。
まずは環境の方を調整することで、お子さんの苦痛を和らげる道を探ることも、親ができることの一つです。
こうした「合理的配慮」をどのように学校に求めればよいのか、どのような実例があるのかについては、こちらの記事が参考になるかもしれません。
「学校が怖い」と感じる皆さんへ
この記事を読んでいる皆さんのなかには、実際に「学校が怖いな」「嫌だな」と感じているお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
「学校が怖い」と感じることは、おかしなことでも、変なことでもありません。
自分の気持ちや感覚を大切にしてもらえる環境があってほしいなと願っています。
自分の気持ちを素直に言える人、聴いてくれる人が周りにいてくれるといいなと願っています。
どんな場所でもいいので
- 学校に行く時の「怖い」という感情を受け入れてくれる場所
- 学校に行けなかった時にもそれを受け入れてくれる場所
を確保しておくのは非常に大切です。
怖さを理解してくれる友だちの存在
Branchのオンラインフリースクールでは
「明日学校行くんだ。でも久々だから怖いな〜」
というような投稿が度々あります。
そういった投稿に対して
「うわ、えらいね!」
「がんばって!」
という声が子どもたち同士で集まります。
また、次の日になって
「やっぱり行けなかった」
「結局行くの午後からになっちゃった」
というような投稿も同時にあるのですが、
「しょうがないよ!久々なんだし」
「気にしなくていいと思うよ〜。また一緒に遊ぼう!」
と、行けなかったことも受け入れてくれる土壌があります。
そんな居場所を、是非探してみてください。