発達障害のある子どもでも、自宅で看護・リハビリが受けられる「訪問看護」という制度があることはみなさんご存知でしょうか?
Branchオンラインフリースクールでこの話題が出た時はほとんどの方が知りませんでした。
あまり浸透していない制度のようです。
今回はこの制度の仕組みや利用方法、体験された方の体験談をご紹介します。
訪問看護とはどんな制度?発達障害の子どもは対象になる?
訪問看護とは、訪問看護師などが住まいに訪問し、療養生活を送っている方の看護を行うサービスです。
血圧・脈拍チェック、点滴や注射などの医療処置だけでなく、リハビリテーションや、自宅での療養生活に関する相談支援など、困りごとに応じてさまざまなサービスを受けることができます。看護師だけでなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったスタッフが訪問してサービスを行うこともあります。
もともと、在宅で寝たきり状態にある高齢の方を対象とした制度としてスタートした訪問看護ですが、現在では全ての年齢の在宅療養者に提供が可能となっています。
ただし、発達障害と診断されていれば誰でも訪問看護が利用可能というわけではありません。
訪問看護を利用するには、「生活や通院・通所に支障をきたしており、自宅での看護・リハビリが必要だ」と、医師が判断するような状態にあることが条件となります。
発達障害のある子どもの場合、たとえば「不登校状態にあり、ほとんど外へ出られない」など、発達障害に関連した2次的な問題が起きている場合が主な利用ケースとなるでしょう。こうしたお子さんの場合、医療保険を適用しての利用となることが通常です。
訪問看護利用の際には
①主治医に訪問看護利用について相談する
②対応可能な訪問看護ステーションを探す
③主治医に指示書を発行してもらう
というステップを踏む必要があります。
医師の指示書が出た後に、訪問看護ステーションへ申し込みをして、担当してくださる方が決まれば、晴れて利用スタートです。
発達障害の子どもがいる家庭での、訪問看護サービス利用事例
ここからは実際に発達障害のあるお子さんのいるご家庭で、訪問看護を利用された方の体験談を紹介します。
※お住まいの地域や担当医師により、異なる判断になる場合もありますので、あくまで一例としてご参照ください。
■訪問看護利用のきっかけ
制度そのものについて初めて知ったのは1〜2年ほどまえだったと思います。私は親の会(LDの子を持つ親の会)に所属しているのですが、そのなかに利用経験のある方がいらっしゃいました。
もともと、うちの子はクリニックに通ってリハビリを受けていましたが、お世話になっていた作業療法士の先生が退職されて担当の先生が替わり、通うことが楽しみでなくなったようでした。
また、クリニックに通うこと自体にも、希望の時間に予約が取れなかったり、子どもの切り替えが難しかったり(家を出たがらない)、といった困難さがありました。
6年生になるタイミングで通院をやめようかと思ったときに、ふと訪問看護のことを思い出し、利用可能かどうかを訪ねました。訪問看護ステーションを自分で探し、医師から指示書を書いてもらえば利用可能だと教えてもらいました。
■申請から利用に至るまで
申請自体は、特に大変だったことはありません。クリニックの先生にひとことお願いをすることで指示書の作成と送付を行っていただけました。いくつかの訪問看護ステーションに問い合わせをし、作業療法士さん、言語聴覚士さんの両方が訪問してくれるところでの利用を開始しました。
■実際に訪問看護を利用してみて
わが家のケースでは、作業療法士さん、言語聴覚士さんの両方に訪問してもらいました。はじめに、以下のように私の希望を伝えて、子どもの様子を見ながらいろいろなプログラムを行ってもらいました。
・体幹がすごく弱いのが気になっているので、それをメインにリハビリをやってほしい。
・また、滑舌が悪いのも本人が気にしていたので、口腔機能のトレーニングもやってほしい。
・リングフィットアドベンチャーやバランスボールなどが家にあるため、家の道具を使えるプログラムをお願いしたい。
・これまで通っていたクリニックでは読み書きを見てもらうことが多かったが、息子は書くことがストレスなので、あまり負荷をかけたくない。
私の相談に対して、作業療法士さんからは
「初回は、家にあるバランスボールに乗って様子をみてみましょう」
「外に出たり、公園行ったりも今後やっていくことができますよ」※1
という回答をいただきました。
また、言語聴覚士さんとは
「初回は発音チェック、舌の動かし方のチェックからはじめます」
「今後、舌の口のトレーニングなどをやっていきましょう」
とお話しました。
※1基本は在宅療育者が訪問看護対象となるため、外に出る場合は医師の指示書の中に「屋外活動可」などの、文言を入れてもらう必要があります。
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■訪問看護が来たときの、子どもの様子・反応
切り替えが難しい子なので心配していましたが、療法士さんが訪問してくると思いの外シャキッと切り替えができていました。最初は恥ずかしがってはいましたが、やり取りするうちに落ち着いてきたようで、本人も嬉しそうにリハビリに取り組んでいました。作業療法士さん、言語聴覚士さんも慣れている感じがして、見ていて安心でした。
これまでは、一度帰宅したあとに外出するのは至難の業だったため訪問してもらえてとても助かりました。子どもが信頼できれば、そのうち自分が家に居なくても大丈夫そうでしたし、希望が持てました。
■訪問看護を使ってみて、保護者としての感想
訪問看護の仕組みは、子どもが利用するというイメージがありませんでした。おそらく他のみなさんもそうだと思います。
それでも実際に利用してみると、訪問してくれた作業療法士さん、言語聴覚士さんは経験豊富そうで、たくさんのお子さんと接しているなと感じました。想像していたよりもすごくよかったです。
初回は様子を見ながら進めていきましたが「こんどは自宅にあるリングフィットアドベンチャーを用いて遊んでみましょうか」などと話しています。
また看護師さんが血圧や体調を記録して体調管理も行ってくれるのもとてもよかったです。通院そのものが困難で疲弊している保護者の方も多いと思うので、休息する時間をつくる方法のひとつとして利用するのもよいのではないでしょうか。
障害者手帳の交付も必要ないため利用開始までの負担も少なく助かりました。
まとめ
作業療法士の方がご自宅のあるものを見て、リングフィットアドベンチャーなどのお子さんが慣れ親しんでいるものを利用してくださるのは、子どもにとってとても良いですね。
また、お子さんの体調を看護師さんが見てくださり、それを病院と連携してくださるのも、保護者としてはとても安心です。
もっとこの仕組みが浸透すると良いな、と思います。
ただし医療保険で訪問看護を利用できるのは、「在宅療養者」が基本です。誰でも気軽に利用できるというわけではなく、家に篭りきりで看護を必要とする方が利用するもの。
この体験談をくださった方へ指示書を書いてくれた主治医は、ご家族の支援も考えてくれていたのだと思います。
「一時期、もう身辺自立が壊滅的で、腹が立ってしかたないと、入院させたいと、相談したこともありましたから」(お母様談)とのこと。
お母さまがイライラしたら悪循環、あまりに親子の衝突がひどいようなら、母子分離は必要ですよね。訪問看護をうまく利用できれば、子どもだけでなく、保護者もホッとできるかもしれません。
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