今年5月、Branchでは、Discord(※1)を使ったオンラインフリースクールサービスを始めました。
Branchスタッフ、メンター、利用しているお子さんと保護者が、オンラインで交流できる場です。
オンラインフリースクールに参加している子ども、大人が、自分の好きなこと(ゲーム、工作等)をシェアし合う「部活」や、保護者が雑談や情報共有するチャンネルもあり、日々言葉や写真が行き交っています。
今回お話を伺ったのは、小学校6年生のSくんのお母さま。
Sくんは、5年生の夏からBranch roomに通い始めました。今は学校を利用しておらず、家を拠点に学び、遊んでいます。
オンラインフリースクールでは、「あつまれどうぶつの森(※2)(以下、あつもり)部」の部長を務めてくれています。
SくんがBranch roomに通い始めたきっかけや、普段の過ごし方、オンラインフリースクールをどう活用しているのかをお聞きしました。
(※1)ゲーマー向けのボイスチャットサービス
(※2)架空の無人島を開発しながら、住民を増やしたり季節のイベントを楽しむゲーム。オンラインで、自分の島と他の人の島を行き来できる。
ーーBranchを知ったきっかけを教えて下さい。
息子は難しいマニアックな話をするので、周りの人に理解してもらえないことが多く、同年代のお友達ともなかなか話が合わなかったんです。
親以外に、息子の話に興味を持ってくれる人と出会ったり、ありのままの彼を受け入れ認めてもらう経験をさせてあげたいと思っていたところ、通っていたフリースクールの方にBranchを教えてもらいました。
ーー普段、Sくんはどのように過ごしていますか?
4年生の5月から学校を利用していないので、ゲーム、You Tube、漫画、工作など、家で好きなことを気ままにして過ごしています。
ゲームは「マインクラフト(※3)」をよくやっています。戦い系が苦手で、頭の中に描いたものを表現するのが好きみたいです。
ゲーム実況や鉄道系のYou Tube動画をみたり、「ドラえもん」「きっぷでGO!(※4)」の漫画を読むのも好きですね。
(※3)ブロックを配置して学ぶ建築物等をつくったり、人物を操作して冒険を楽しんだりすることができるゲーム。
(※4)「鉄道」をテーマにした学習漫画シリーズ。
ーーBranch roomをどのように利用されていますか?
通い始めた頃は、よく改造電車を作っていました。プラレールの動力部分だけを残して、あとは全部取り替えるんです。
好きだけれど発売されてないプラレールを、プラバンなどを使って作っていましたね。
(改造電車)
Branch roomに通っていた時期もありますが、今は月一回、オンラインで中里さんのプログラムを受けています。
あつもりで頑張って作った世界について説明したり、マインクラフトを一緒にプレイしています。
とにかく、中里さんとお会いできるのを楽しみにしていて。終わったあとも、「本当に楽しかったー!」という思いが溢れているんです。
(中里さんとのオンラインプログラムの様子)
学校やフリースクールが合わなくても、Branch room(ここ)がある。
学校に全く行かなくなったのは、4年生の5月くらいからです。
行き渋りは1年生からあったので、週に何回か、付き添ってなんとか登校していた時期もありました。
ーー行き渋っていたのは、何か理由があったのでしょうか?
1年生の頃は、自分でも理由が分からなかったようです。
4年生になったとき初めて、「好きなことや興味があることはみんな違うのに、なんで先生の話だけを一方的に聞かされて、みんな同じことをしてるの?」と言いました。
もともと、興味のないことはやりたくないタイプなので、学校生活全般に疑問を持っていたのだと思います。
ーーフリースクールでの様子はいかがでしたか?
小学校4年生の10月から今年の4月まで、フリースクールに通っていました。相変わらず、お友達とはあまりやりとりできなくて。
自分から積極的に話しかけるのが苦手なので、気持ちを先生に伝えるタイミングが掴めず、ストレスをためている様子でした。
家に帰ると、フリースクールでの出来事について、嫌だった気持ちを爆発させることもありましたね。
フリースクールを辞めたいと言い出した時は、「ここを辞めたらどこにも通う場所がない」と、息子も私も不安でいっぱいだったので、Branchに繋がれたのは、親子ともに本当に心強かったです。
Discordを使ったオンラインフリースクール。
投稿を介して、子どもの新たな一面に気づくことも。
ーーDiscordに参加する前に、不安だったことはありますか?
まず、興味を示すかな?と思いました。
普段作文を書く機会が全くないので、どんな文章を書くのか、本当に書けるのか、とても心配でした。
でも蓋を開けてみたら、とても丁寧な文章を書いていて。「こんな言葉遣い知ってたんだ!」など、新しい発見がありました。
外に出なくても、人とつながり、自分を表現する経験は自信になる。
ーーBranchのオンラインフリースクールには、「あつもり部」「マインクラフト部」「生物部」など、色々な「部活」がありますね。どのように活用していますか?
電車に乗りに行ったり、博物館、水族館や動物園に行くのが好きだった息子が、緊急事態宣言が出てから、ほとんど家から出なくなってしまったんですよね。
もともと、作品を観てもらって感想を聞くのが好きなので、発表する場があるのをとても喜んでいます。
You Tubeに作品を投稿していた時期もあったのですが、批判の意見が届いてから辞めてしまって。それが、私はとても残念だったんです。
でもBranchでは、皆さんがすごく温かいコメントをしてくださるので、息子も安心して作品を紹介しています。
皆さんの温かい反応が、「次はこういう作品を作ろう」というモチベーションになり、それが自信につながっているのを感じます。
また、異年齢のお子さんとつながれるのも、息子にとってとてもいいなと思っています。
作った作品のプレゼンテーションも、本人が「やってみたい」という時がきたら、挑戦してくれたら嬉しいですね。
ーーSくんは「あつもり部」の部長も引き受けてくれました。お母さまからみて、部長を務めるSくんの様子を教えていただけますか。
最初はとにかく、部長に指名されたのがとても嬉しそうでしたね。何度も、「なんで僕が指名されたのかな?」と聞いてきたりして。
私からも、「たくさん投稿したり、『こんなことやろう!』と企画して実際にやったから、部長をやってほしいと思ってもらえたんじゃない?」と伝えました。
(よくある歩道や、ホテルのバイキングを再現)
(「あつもり部」部活動の一コマ。みんなで海水浴)
ーー今はどうですか?
実は、今はほとんど部長の活動をしていないんです。
オンラインゲームだと、お互いの意図が伝わりにくい場面もありますよね。自分の細かなこだわりや思いが伝わらずに傷ついてしまうこともあり、最近はオンラインゲームをお休みしています。
ゲーム自体に飽きてきた様子もあります。そこが難しいですね。持続して興味を持てることだといいんですけど。
でもこの経験で、自信を持てるようになったと感じています。
子どもの伴走者、保護者どうしもつながる。
ーーお子さんだけではなく、保護者が交流できるチャンネルもありますね。
皆さんの投稿を見ていると、本当に共感するエピソードが多いんです。
自分から発信しなくても、皆さんの言葉を読むだけでも得るものは多いです。
ーーどんなエピソードが心に残っていますか?
いつも共感し、感情移入して苦しくなってしまうのは、学校の先生方とのやり取りです。例えば、
「お子さんが学校に来れないのは、お母さんが甘やかしてるからなのではないか?」
「本人の行きたくない気持ちをいつまでも優先させるのか?」
と先生方に言われたエピソードは、私にも同じような経験があったので、泣きながら読みました。
また、知らない情報をいただけるのもありがたいですし、似た悩みを持っていらっしゃる方が多いのが本当に心強いです。
まだ1回しか参加できていませんが、毎月のオンライン保護者会では顔を見ながら交流できるので、普段やり取りしている皆さんがどんな方かが分かり、オンラインフリースクールの安心感につながっていると思います。