発達障害や不登校のお子さんと保護者が集い、部活動や悩み相談ができるBranchオンラインコミュニティでは、毎月さまざまなテーマで「保護者会」を開催しています。
この記事では、「周囲との価値観の違い」をテーマに扱った、2021年7月の保護者会の様子をお届けします。七夕の夜にのんびりと、ちょっぴり眠たくなりながら(笑)おしゃべりしました!

 

親と子は別の人間、と思うのが難しい

子どもには子どもの価値観や感じ方があり、それは自分と同じとは限らない……と、頭ではわかっていても、ついつい気になってしまうのが親心でしょう。この日の保護者会でも、自分と子どもを適切に切り分けて考えることについて、エピソードが共有されました。


「前回の保護者会で『特性のあるわが子の気持ちが分からない』という話を聞いて、親子の違いについて改めて考える機会になった。わが子が診断を受けてすぐは、合わせようと頑張っていたけれどすごく疲れてしまった。今は完全に合わせなくてもいいと吹っ切れた。」

「自分が生きて来た社会の中で、『やるべき事をやってから』と育てられてきたので、潜在的に染みついている。本を読んだりして、特性や合う環境は人それぞれだと分かってはいるけど、わが子となると「どうやって生きてくの?」と思い、心配でつい口出ししてしまう。」

「不登校になってすぐの頃は、公園で遊ぶと『ずる休み?』と言われることで、私自身がダメなことだと思い込み、わが子に『家の中にいて欲しい』と思って行動を制限していた。周囲からの目や、自分の評価を気にしていたと思う。」

「子どもからは頼まれてもないのに、先回りして色んなことをしてあげていた。それは、自分の安心のためで、ゆっくり関わってあげられないからだった。」

「愛情ゆえに先回りや干渉をしてしまうのは、とてもよくわかる。難しいのは、癇癪が起こらないようにどこまで介入するかということ。本人にとって耐えがたい環境はなるべく避けてあげたいけれど、自分で対処を覚えることも大事だと感じ、どこまで見守るのかいつも迷う。」

「高校生の頃、おばあちゃんに何でも思うことをぶつけていて、ある時『私のことは他人だと思って接しなさいね』と釘を刺されたことがある。『家族でも他人か、別の人間なんだ』と当時は少しショックだった。その後、周りの友達からは私に冷たい一面を感じると言われたこともあったけれど、今はその経験もよかったかなと思っている。」


家族内での価値観のすり合わせについて

次に、夫婦間の価値観のすり合わせや、自分たちの親(子どもの祖父母)から
の理解についての話題に移りました。子どもが不登校になったことで、改めて家族内でのコミュニケーションが取られ、良い方向に変化したというエピソードも。

■夫婦間の価値観のすり合わせ

「夫婦間の価値観のすり合わせが一番大変だった。夫が180度変わったと思う。元々は学校に行くことが当たり前という考えだったが、家族以外の知人で発達障害や不登校に理解のある人たちに囲まれていたため、夫も徐々に自分が生きてきた中では分からないことがあるのだと感じるようになった様子。そうすると、息子も落ち着きをみせた。」

「夫はガキ大将タイプで、癇癪に関しても『元気があってよろしい』というスタンスだった。常に自分のペース・自分のベクトルだから、最初は私の気持ちが分かってもらえず、ワンオペ育児のような感じでつらかった。むしろ、わが子が学校に行かなくなってからの方が関係はいいかもしれない。夫は、不登校のことを『今っぽい』『最先端』と捉えている様子。」

「夫は『学校に行かないならせめて勉強するべき』という考えで、親子が険悪な雰囲気に。先日、『おうちキャンプ』と題して家族全員で端末を見ない2日間を過ごしたことをきっかけに、みんなで喋る機会ができて関係がよくなり、子どもたちも『パパといっぱい遊びたい』『これからもスマホ見ない時間をつくろう』と言うようになった。今までコミュニケーション不足だったんだなと痛感した。」

■祖父母からの理解

「私の両親には、子どもが発達障害の診断を受けたことを伝えていなかったが、久しぶりの帰省で身の回りのことに手間取る場面を見せたことから、もう隠せない・言った方がいいと思いカミングアウトした。ただ、世代間で子育ての価値観も違うので、両親は当たり前のように『なんでできないんだ』と感じて口にし、子どもにはかえってマイナスになってしまう。両親には十分理解が得られなくても、家族ぐるみで交流のある友人がいるので自分の気持ちは保てている。」

「夫の両親は、上の世代の固定的な価値観で、すり合わせるまでに至っていない。心配はしてくれるけど、理解してもらうのは難しいので、ある程度距離を取るしかない。『元気?』と聞かれたら『元気!』と答えるだけ、それ以上は言わない。コロナ禍でしばらく帰省していないので、ある意味ほっとしている。」

「息子が幼い頃から私の母に預けることも多かったが、先日息子がこっそり『おばあちゃんみたいなタイプって苦手』と話してくれた。私の母は、自分のペースで家族をコントロールしたい人で、私自身も受け入れるのに時間がかかった。辛抱していたんだなぁと、少し切ない気持ちになった。」

「親が福祉の仕事をしていて、親族にも障害のある人がいるので、自然と分かってもらえる。息子のWISCの結果も見せた。テレビや新聞で発達障害のことを扱っていると、『見たよ』と報告してくれる。」

「テレビでは突出したものがある人が取り上げられることが多いので、両親から『得意なものを見つけなきゃ』というようなことを言われ、最初の頃はその度に動揺していた。今は距離が離れているぶん、心がザワザワすることは減っている。」

「私の母は、以前は頑固な父を怒らせないように振舞い、私たち兄弟にもそれを求めていたが、父が亡くなって50歳を過ぎてからアメリカ人と再婚。それからガラっと変わってすごく寛容になった。発達障害に知識はなくても、人によって価値観が違うのは当たり前という感覚。」

■自分の親から受け継いだものと、自分の子育てについて

「自分の価値観も、少なからず親や社会との関係から出来ている。わが子が不登校になって、自分の価値観をひっくり返すくらいの2〜3年だった。刷り込みや思わされてきたことを解いていき、子どもの価値観やありのまま受けとめるって、簡単なことではない。」

「親とも長い時間をかけてお互いを受け入れてきた。わが子とも長い時間かけていくつもりでいいのかなと思う。」

「両親からコントロールされてきて、自分もわが子にコントロールしたくなってしまう欲をなんとか押し潰している。そんな中で、コントロールしない方法で接することができたときの快感はものすごくある。」

「子をコントロールしようとしても、なんにも生まれない。3人目の子育てでやっと気づいた。上の子たちには、今更ながら謝ったりしている。」

「幼い頃はある程度コントロールできているつもりでも、思春期になると全力で跳ね返してくる。親も正直になって対話すること、そして適度な距離感が大事。」

周囲の人との関わり方
家族以外の周囲の人との関わりについては、相手との距離感や関係性に応じて、発達障害や不登校のことを、どこまで・どの程度話すかが悩ましいという意見が出ました。

「発達障害や不登校関連で繋がった人以外のコミュニティでは、あえてあまり話さないように気を付けている。一生懸命に説明しても、ニュアンスが伝わらずかえって疲れてしまう。うちの子ってかわいそうなわけじゃないのになぁと思ったりする。」

「近所の人とか久しぶりに会った友人とか、ちょっと距離のある人に説明するのが面倒くさい。『大変だね』『治るよ』『大丈夫』と言われることが、なんとなくモヤモヤ。」

「価値観は人それぞれだから一緒になれることはないけど、歩み寄ることが大事。認めてもらえると嬉しい。ただ、価値観の違いにあまりに衝撃を感じて、そのプロセスにたどり着けない人も世の中にはいる。」


受容の過程、変化のなかでの葛藤

保護者も子どもも、時間が経つ中で日々気持ちや考えは変化していくもの。特性や状況を前向きに受容できていったり、状況が変わってまたモヤモヤ・葛藤が生まれたり……参加されたみなさんそれぞれに、等身大のお気持ちを語ってくださいました。


「障害について、聞いている情報と実際になると全く違う。家族が受容していく過程で葛藤は常にある。保護者さんたちはみんな『頑張り続けている』から、くれぐれも倒れないように!心身ともに自分のゆとりが大事。」

「本当はどっしりと構えていたい。待つことが大事と分かっていても、待てない性分。モデルがいない状態だと不安が強くなり焦ってしまう。」

「わが子は、校長先生と合わなくてスパッと『学校を辞めた』し、親向けのセミナーで日本の教育がいかに間違っているのかということを耳にしてすごく腑に落ちていた様子。ただ、今年度から校長先生が変わり学校の環境が良くなったために、行く・行かないの葛藤が出て来た。」

「勉強に関して、『ずっとやってないのはマズイと思って来た』と自分から通信教材をすると言い出したのに、なかなか進まず…。子どもの方から出てきたニーズが続くとは限らない。」

「4月から適応指導教室へ通い始めて、再び朝の葛藤が始まった。やはり変化の時はエネルギーを使うし、疲れる。夫の考えが変わったことで、『適応に行けてるなら家で勉強はしなくていいんじゃない?』と言うのも、ちょっとモヤモヤしている(笑)」


揺れ動く日々の中でも…

みなさん状況は様々ですが、お子さんを想う気持ちは同じなんだなぁと、胸があったかくなりました。また、葛藤や揺れ動く気持ちは常にありながらも、明るいエネルギーを感じることができて、話していくなかでみなさんの表情がほぐれていくのがじんわり嬉しいです^^

寝かしつけの合間に聞いてくださった方々もありがとうございました!また新たな形での保護者会にもトライしていきます。みなさんと一緒にほっとできる雰囲気をつくっていけたらと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
(Branch運営スタッフ・小堀)

この記事を読んで、Branchオンラインコミュニティに興味を持たれた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

過去の保護者会記事紹介
「不登校児のきょうだいの子育て・関わり方」について
「子どもの感覚過敏/鈍麻の困り事」について
「こだわりと強迫性障害」について」


ライター:小堀 紫苑

京都大学医学部人間健康科学科卒、資格:作業療法士 保育士
精神科病院、療育、訪問看護での勤務歴あり。経験を活かして、柔軟に創造的に、お子さんと関わっていきます。私自身とてもマイペースな子どもだったのですが、納得いくまで取り組むことを尊重し見守ってくれた大人の存在は、今でも心の支えです。 私もお子さんの可能性を信じ、個性に寄り添い、安心できるお話し相手になれたらと思います。そしてご家族のサポートも行っていきたいです。好きなことは、歌・ウクレレ・手芸・ヨガなど。ジブリや絵本の世界観、生き物や自然を観察することも大好きです!