いつも、お子さんのサポートに奮闘していらっしゃる保護者の方々。そんなみなさんも、それぞれ個性を持ったひとりの人…ということで、今回は保護者さん自身にスポットを当てていくテーマ設定にしました。
今回は、半分くらい聞くだけ参加の方もいらっしゃいました。チャットで頂いたコメントも交えながら、対話形式でまとめていきます。(話題に沿って分類したため、話した順番は多少前後しています)
 

◎目次

・目的とグランドルールの確認
・自己紹介
・エピソードと対処方法
 └同時進行、やりっぱなし、忘れ物…
 └思考が多動!
 └目立つ特性がない人の気持ち
 └「最近どう?」と聞かれて困る
 └いろんなところに体をぶつける
 └繊細さん。いろんなことが心配、疲れる!
・自分自身とお子さん、家族との感じ方の違いについて
・理想と現実の葛藤
・見通しの持てない不安、学校とのやり取り
・理解と環境
・運営からのコメント
 
 

◎目的とグランドルールの確認

まずはスタッフ小堀から、Branch保護者会についてスライドを使って導入を行いました。
今までも保護者のみなさんが自然に、あるいは意識的に配慮されていたことだとは思いますが、改めて言語化してみました。
 
【目的:こんな状態をめざします】

・顔を合わせておしゃべりすることで身近に感じる!
・悩みを共有することで、①安心する ②スッキリする ③前向きな気持ちになれる!
・情報交換を通して、課題解決の糸口をつかむことができる!
 
【グランドルール:安心安全のために】

・スタッフも保護者も、誰のことばも否定しません。
・揺れている気持ちもひっくるめて、認め、受けとめます。
・初めて参加される方・慣れない方もあたたかく迎えます。
 

 

◎自己紹介

今回は、好きな色やその理由について聞いてみました。

・水色が好き。幼い頃、姉妹でそれぞれピンクと水色がテーマカラーみたいな感じだった
・とにかくデニムが好き。気づくと同じような服が…
・理由はわからないけれど寒色が好き
・グリーン系が落ち着く
・なぜか幼い頃から黄色が好き。服はモノトーン、流行りのスモーキーカラーも気になる
・ボーダー好き、微妙な幅のこだわりがある。同じのが落ち着く

衣服と持ち物で色の系統が違うことはよくあると思いますが、「なぜか惹かれてしまう色」には個性が出ますね。けっこう、同じものを集めてしまう方もいらっしゃいました!(笑)
 
 

◎エピソードと対処方法


・同時進行、やりっぱなし、忘れ物…

Aさんの場合
「つい子どもに言ってしまうけれど、私も忘れ物・無くし物はしょっちゅうです。リモコンが冷蔵庫に入っていたこともあるくらい(笑)仕事は常に複数のことを同時進行で、大人になってやっと完結できるようになったけれど、思い返すと子どもの時はやりっぱなしでした。衝動は強くなかったので、学校生活で大きな問題にはならずなんとかやって来られたのかなと思います。父が厳しく、幼い頃から言葉の先を読んで過剰適応していたので、今もそのなごりがある気がします。よかれと思ってやったことも、息子や夫からは、『そんなこと言ってない』『そこまでやらなくてもいいのに』と言われることもしばしばです。」
 
Aさんなりの対処法は?
「とにかくチェックリストが大事!1日の最後にメールの履歴を見返して返信漏れがないか確認するなど、自分がやったことの振り返りの時間を必ず作ります。あと、やりかけの案件の書類などを入れておく箱を、デスクの上や下に置いてひとまず突っ込んでいます(笑)それも、今まで『見苦しい』とかいろいろ言われてきて、何とかそこそこ綺麗に見えるくらいに出来るようになってきました」
 
Bさん(チャット)
「わたしも子どもの頃は片付けできない、忘れ物多い、結構でこぼこあったと思います!でもいつからか“普通っぽく振る舞う”ことができるようになりました。でもあのまま行っていたらのパラレルワールドを見てみたい気持ちもあります(笑)」
 
 

・思考が多動!

Cさんの場合
「私は、体は多動じゃないんですが、思考が多動なんだと思います。連想ゲームのように3個くらい先の話をしてしまいます。注意散漫で何にでも飛びつき、小さい頃は『目に入るもの全部ほしがる子だね』と言われていました。とにかくルーティンワークが苦手で、仕事も自由度がないとすぐにやめたくなっちゃう。思いつくままに転職し、キャリアコンサルタントの資格も取ったりして、結局は自分のためになっているなとは思いますが(笑)」
 
Cさんなりの対処法は?
「仕事柄、行きついた考えは『得意と苦手のマッチング』そして『仕事理解と自分理解』が大切ということです。私はいろんな仕事を転々としながら、徐々に自分が嫌だなと感じる場面の理由がわかるようにもなってきました。ミスに関しても、過去に大きな抜けがあったから今となっては気をつけられる。でも、チェックリストを作っても、2つに増えてわからなくなってしまったこともありました(笑)Aさんみたいに上手に対処できたらいいですよね~。真似してみたいと思います」
 
 

・目立つ特性がない人の気持ち


Dさんの場合
「私は、平均的でこれといって突出したものはなく…。波風立てず目立たず、普通に学校生活を送ることにも何の違和感もなく生きてきたのですが、実は娘がAさんと似ています。いろんなことをやりかけて、途中で忘れてしまっても本人は満足しているのですが、私は気になってイライラしてしまって…。でもAさんの話を聞いて、大人になるにつれ少しずつ対処法を身につけていけるのかもしれないと思ったら、長い目で見守っていこうと、少し気持ちが楽になりました」
 
Dさんなりの息抜きは?
「息子の不安が強く私にべったりなのですが、料理や洗い物のときはイヤホンで音楽を聴いて自分の時間を確保しています。あと、家族が寝静まってから深夜番組を観たりして気分転換していますね」
 
 

・「最近どう?」と聞かれて困る

Eさんの場合
「子どもの発達を診てもらうために病院へ行って得る情報が、まさに自分に当てはまります。今までの自分の自信のなさ、みんなと同じようにできないという感覚が、『ああそういうことだったのか』と納得しました。よく思うのが、『最近どう?』って何なの??ということです(笑)何を答えればいいのか戸惑います。『最近よく何してるの?』とか『最近何が楽しい?』と聞いてもらえればスムーズに答えられます。ただ、子どもにはつい無意識に『どう?』と聞いちゃいます。そりゃわかんないですよね(笑)」
 
Fさん
「あ!息子が『わかんない』ってよく言うの、そういうことだったんだ~。今わかりました、なるほどね」
Gさん(チャット)
「うちの子も『わからない』ってよく言います…」
Cさん
「うちもそうでした。曖昧なことや、言語化が苦手なんですよね。『今日は嬉しいことがあった?嫌な事があった?』と聞いてみて、例えば嬉しい事があればそれを具体的に掘り下げていきます」
小堀
「確かに、2択やyes/noで答えられる質問から入るのはいいですね。ちょっとした工夫でも、質問される人の感じ方は変わりそうです。それから、言語化が苦手な子もいれば、いろんな経験としては吸収していても思い出すのに時間が必要な子もいるかもしれませんね」
 
 

・いろんなところに体をぶつける


Eさん
「それから気になっているのが、私、考えていることと体の動きが合わないんです。車から出たと思ってドア閉めたら、体は付いて来ていなくてぶつけてしまって。他にもしょっちゅう体をぶつけますね。これどういうことなんでしょうか?」
 
小堀
「考えや注意がどんどん先に行ってしまうというのもありそうですが、身体イメージがぼんやりしているのかもしれませんね」
Eさん
「身体イメージってよくなることはできるんでしょうか?」
小堀
「身体イメージは、皮膚の感覚(輪郭)や、筋肉の伸び縮み(位置)、耳の奥で感じる揺れや傾き(軸)などを総合して認識しますが、感覚の凸凹があるとうまく把握できないことがあります。感覚統合とかはまさにそういった感覚をたくさん入れてあげることで、身体イメージを育むことにも一役買いますね。私もよく体をぶつけます(笑)でも、大人になってから解剖学やヨガを通して体の構造を学ぶことで、知識として身体イメージの理解を深めた側面もあり、そういったアプローチもあるかと思います」
 
 

・繊細さん。いろんなことが心配、疲れる!

Hさんの場合
「私は、子どもの受診でいろんなチェックリストを見たけれど自分には当てはまらなかったんです。でも、HSPは当てはまることが多くて腑に落ちました。みんなが『たいしたことない』ということでも、『これって大丈夫なのか』『怒られないか』と心配になることが多くて。そういう感情になった場面は、今でも鮮明に記憶に残っています。時間に関しても、出かける1時間前くらいからソワソワしてしまって…。我が子にもついつい気になって言ってしまうけれど、細かいことはなるべく見て見ぬふりをしたり、『まいっか』と気持ちのゆとりを持つよう心掛けたりしています。以前は、とにかく疲れていたし、いっぱいいっぱいで。我が子の不登校きっかけに考え方を見直す機会になりました。“不登校のおかげ”で、今までの基準を変えることができたなと思っています。それから私の場合、関わる人には恵まれていたかもしれません。『心配性だな』『ビビりだな~』と言われても、否定されたりバカにされたりすることはなく、“そういう人だ”と捉えてもらっていたと思います。そのままで受け入れてくれる仲間って大事ですね」
 
Iさん(チャット)
「特性かわからないけど、花火大会の帰りの混雑した駅が怖いです。息子が『学校は人が多くて怖い』というのと似ているのかなぁ」
Cさん
「私も人ごみはすごく疲れます」
小堀
「刺激を受け取りやすく疲れてしまうというのも特性だと思いますが、さらに不安や恐怖を感じるとなると生きづらさもより強くなりますよね。単に人が多いことが怖いケースや、視線が怖いというケースもよく聞きます」
 
 

◎自分自身とお子さん、家族との感じ方の違いについて

Dさん
「自分自身に目立った特性がないので、今まで我が子に対して『どうしてそうなるの?!』とわからないこともたくさんありました。今回、特性を持ちながら大人になった方が言語化してくださったことで、『そんな風に感じてたんだ』と一歩理解が進んだ気がします」
 
Eさん
「夫が、Dさんのように目立った特性はなくスムーズに集団に馴染めてきた人で、学校に行けない理由がなかなか理解できなかったようです。私と子ども2人は特性が強めなので、我が家では何かあると3対1で対立する構図になってしまい、今思うと夫も可哀そうだったなと。お互いにどう感じているのか、別の立場の気持ちを聞けてよかったです」
 
Cさん
「私は長男とは全く違うので、常々『意味がわからない』と思っているのですが(笑)次男とは似ていて、言いたいことがわかるんです。でも似ているからこその難しさもありますね。『なんでみんなと同じことをしなくちゃいけないんだ』という気持ちはわかるけれど、それに対する割り切り方はそれぞれ違うし、年齢とともに変わっていくかもしれない。一度医師に指摘されたことがあるんですが、親子で似ていても別の人なんだということを認識しないといけないですね。誰しも自分が“普通”だし、自分が基準なんですよね。心の根っこの“自分の当たり前”を乱されること、“自分ができたこと”や“苦手だけど頑張っていること”を我が子ができないことに対してのイライラがありました。子どもには初めから完璧を求めてしまい、今思うと酷でしたね。いい意味で寛容にはなりましたが、今度は自分が時間を守れなくなってきて困っています(笑)」
 
 

◎理想と現実との葛藤

Cさん
「仕事柄、大人の発達障害の方と関わることも多く、『絶対に二次障害にしてはいけない!』といった強い思いが生まれました。でも、いざ自分が“障害のある人の家族”という立場になってみると、知識としては“ありのままを受け入れらなければならない”のに、そう簡単にはできず葛藤しましたね」
 
Jさん
「私も福祉職なので、『障害を受け入れない家族ってどうなんだろう?』と思っていましたが、実際に我が子が診断を受けた時はなかなか受け入れられませんでした。ダメだとわかっているけど怒っちゃうし、日々葛藤です。障害を受け入れたと自分では思っても、結局人の目も気になってしまいますし。ずっとこういった揺れる気持ちの繰り返しなんだろうなと。漠然と不安になるから、あまり先のことは考えないようにしてるんです(笑)ここ数日元気でいてくれたら、それでいいって!」
 
小堀
「ここ数日元気でいてくれたらって、すごいパワーワードですね!素敵です」
 

◎見通しの持てない不安、学校とのやり取り

Cさん
「自分の特性として、見通しが立たないことへの不安も強いなと思っていて。子育てはただでさえ不安なのに、特性のある子を育てていると共感できる人になかなか出会えず、当時はかなりつらかったですね」
Jさん
「子育てって全く自分の思い通りにいかないし、マイルールが通じないから、いろんな意味で覆されますよね」
Kさん(チャット)
「見通しの持てない不安、よくわかります!」
 
Cさん
「先生から、将来的なことを考えて学校に戻るようにとか教科学習のことを言われると、その度に不安になり揺れていました。頑張って子どもに何かやらせなきゃいけないのかって。でも先生は、きっとそこまで深く考えずに言っているんですよね。レールに乗った先のことを想像しているから、レールから外れた人を戻そうという風に。私自身もレールが見えることで安心する人ではあったけれど、子どもの様子をみていると『しょうがないわ!』と思い、今は何を言われても惑わされなくなりました(笑)」
Lさん(チャット)
「学校はオールラウンダーを育てる場所、というのを最近本で読んで、『じゃあ、うちは合わなくてもしょうがないな!』と開き直ってたとこです」
 
 

◎理解と環境

Eさん
「みなさんのお話を聞いて、共感することばかりで激しく頷いてしまいました(笑)今思えば、私ノートを使い切ったことがないんです。日記も続いたことがないし、そういうのを埋められる人ってすごいなと思います。特性強めな私でも、大きく困ったりつまずいたりせずになんとかやってこられたのは、周りの環境だったのかなと思います」
 
Cさん
「必ずしも特性が強いからといって、学校に行けないわけではないではないですよね。環境によってできることもあるし、わかってくれる人がいてくれることも大きい。『理解と環境』が大事ですよね」
 
 

◎運営からのコメント

今回、保護者の方々の自己理解や対処法について共有できたらと思いこのテーマを発案したのですが、思っていた以上にそれぞれの立場の気持ちを言語化して理解し合うことができ、とても価値のある体験をさせてもらえたと感じます。
 
保護者会後のアンケートでも、
「親のことがテーマだったけれど、子どもにも繋がっているんだなあと共感することが多かったです」
「凸凹が自分にも多少あるから子どもの気持ちがわかる方と、自分とタイプが違うからわからない方、どちらの意見も聞けたのが良かったです」
といった感想があがりました。
また、
「それぞれの困り事を試行錯誤しながらも解決しお仕事に活かしたりと、ステキな経験談を伺えて良かったです」
「困っていることの対処法は経験値で上書きされるんだなと感じました。いま困っている子ども達には理解ある大人からの対処が必要ですね」
といった前向きなご意見もいただきました!
 
これからも、話しやすい場を保護者のみなさんといっしょにつくっていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします^^

 

 

 

 

ライター:小堀 紫苑

京都大学医学部人間健康科学科卒、資格:作業療法士 保育士
精神科病院、療育、訪問看護での勤務歴あり。経験を活かして、柔軟に創造的に、お子さんと関わっていきます。私自身とてもマイペースな子どもだったのですが、納得いくまで取り組むことを尊重し見守ってくれた大人の存在は、今でも心の支えです。 私もお子さんの可能性を信じ、個性に寄り添い、安心できるお話し相手になれたらと思います。そしてご家族のサポートも行っていきたいです。好きなことは、歌・ウクレレ・手芸・ヨガなど。ジブリや絵本の世界観、生き物や自然を観察することも大好きです!