発達障害や不登校の子どもが集まるBranchでは、必ず最初にお困りごとを保護者の方にお聞きするのですが「話せる友人がいない」「友達がいない」「家族以外とのコミュニケーションがない」という相談を受けることが多々あります。
今回は、主に中学生のお子さんが不登校である保護者の方に向けて、「友達付き合い」「友達づくり」に関する考え方のヒントや、お子さんが自分に合った友達づくりをするための方法と事例をご紹介します。
中学生の不登校と、友人関係・友達付き合いの関係は?
子どもが学校にいかなくなる、不登校になる経緯や原因はさまざまですが、人間関係に関する悩みや問題が原因となることも少なくありません。
以下は、文部科学省の調査結果に見られる、中学生の不登校原因の上位3つです。
【中学生の不登校原因上位】
・無気力・不安 ……47.1%
・いじめを除く友人関係をめぐる問題 ……12.5%
・生活リズムの乱れ・遊び・非行 ……11.0%
参考:「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」.文部科学省初等中等教育局児童生徒課.2021-10-13
※学校内で行った調査であるため、「いじめが原因」と回答しづらく、その分「いじめ」が不登校原因に占める見かけの割合が減っている可能性があると筆者(中里)は推察しています。
いじめなどが原因で無気力・不安になってしまったり、いじめ以外でも友人関係の難しさが不登校につながったりする場合が比較的多いと言えます。
そもそも「友だちづくり」は急がなくてもいい。保護者の不安=子どもの不安とは限らない
お子さんが不登校で、日頃一緒に遊んだり学んだりする友達がいないと保護者としては心配になるでしょう。しかし、お子さんは同じようには思っていないかもしれませんし、そもそも「友達づくり」を急ぐ必要はありません。
①今のコミュニティ内(学校など)だと共通の趣味を持つ人がいなくて話しづらいが、好きなものや趣味が似ているコミュニティだと会話ができる
②そもそも1人で黙々と遊んだり学んだりするのが好き
というようなお子さんもたくさんおられます。自分なりの理由があって、学校であえて友達をつくっていないという可能性もあります。
そうした子どもたちに対して、無理に「学校での」「友達づくり」を急がせる必要はないと僕は考えています。
「学校で友達ができないだけ」だったりしませんか?
学校のような巨大なコミュニティの中での交流が苦手でも、好きなことや共通の趣味がある子ども同士だったら話せたり遊べたりすることがあります。
同じ年代・同じ地域の子どもを集めてコミュニティをつくるのが学校です。
もちろん、年代や地域が同じことで、共通の話題や関心を持ちやすくなる面もありますが、現代の子どもたちは地域だけでなくインターネットも含め多様なソースから情報を仕入れているため、同じ年代でも好きなことや趣味が昔よりバラバラになりやすくなっています。
私たち親の世代は、みんなで同じ雑誌や同じテレビ番組を見ている比率が高かったですが、今の子どもたちは同じ「YouTube好き」だったとしても、見ているチャンネルはバラバラである、ということが珍しくありません。テレビを家でずっと見ている子もいれば、全く見ない子もいます。ずっとゲームをしている子もいれば、デジタル・メディアに全く触れていない子もいます。
あくまでも学校というのは、年代と住んでいる地域が同じ子どもたちが集まっているだけの場所ですので、お子さんの性格や特性によっては、遊びにくい環境である、自分の遊びたいことで自由に遊べない、ということも十分にありえます。
今の子どもたちは、昔と比較して同地域内・同学年内の子ども同士で共通の話題や遊びを探すのが難しい、ひいては友達づくりがしにくい世代だと言えるかもしれません。
不登校の子どもの「友達づくり」のヒント
ここまで見てきたように、「友達づくり」は義務ではなく、急ぐ必要もありませんし、「学校」だけが友達づくりの場所ではありません。
それでも、「今は友だちをつくって何か一緒に遊びたい」「学校とは違う場所で友達をつくりたい」「自分にあった友達付き合いの方法を知りたい」と思っているお子さんもたくさんいると思います。
発達障害・不登校の子どもが集まるBranchのコミュニティでは
・学校では友だちができなかったが、共通の話題があれば友だちができた
・学校生活では人間不信になり、家族以外とコミュニケーションを取れなくなったが、共通の好きなことを通じて他の子と話せるようになった
という事例が多々あります。以下では、Branchの子どもたちの事例やコミュニティ運営の経験を踏まえて、友達づくりのヒントをご紹介します。
好きなことや趣味で共同作業をする
久々に友だちづくりをするとなると、どんな話をすればいいか考えるのが大変ですよね。
「何を話そう?」と考えるだけで緊張してしまうでしょう。
そんなお子さんに向けた一つのヒントが、「自分の好きなことや趣味で共同作業をする」ことです。
以下のエピソードをご覧ください。
ロボット教室に行きはじめてから、自分と同じ興味の方向性を持った人とつながりました。自分よりいろんな知識を持っている先生や先輩。
学校じゃなくて、趣味でつながる経験はとても大きいです。
(中略)
大学生の今でも続いているコミュニティができました。大会に出るときに、チーム競技だったので同世代の人とつながる機会がありました。一緒に参加して、同じ目標に向かって、切磋琢磨する
「学校に行く」という枠から外れてしまっている感覚がずっとあった:不登校でも居場所はあるよ – Branchメンターインタビュー
ただ同じ教室、同じ教材で学ぶのではなく、好きなことや趣味でつながって、同じ目標に向かって一緒に共同作業をする方が、友達もつくりやすく、関係も深まりやすいでしょう。
これはオンラインでも実現可能で、たとえばマインクラフトで「一緒にブランチマイニングする」「一緒に大会に出るために建築をがんばる」などでも同じです。
自分と似た立場のいる人たちがいる場所へ行く
自分が不登校だから、学校に行っている子たちと会うのが嫌だ、という気持ちになることもありますよね。
Branchに通っている子たちに話を聞くと、「学校の登下校の時間には家から外に出ない」という子も多いです。
そんなときは、学校に通っていない人同士、自分と好きなものが同じ人同士など、何かしら自分と共通点のある子たちが集まる場へ行くと、楽な気持ちで過ごせると思います。
・フリースクール
・好きなことの習い事(ゲーム、プログラミング、運動系など)
・適応指導教室
・オンラインコミュニティ
など
また、中学生以上でゲームが好きな子どもの場合は、上記のようなオフラインの場に行かずとも、Discordなどのコミュニティ・サービスやマインクラフトのサーバー上で知人・友人をつくって交流することも一般的になりつつあります。
どのように友だちができましたか?不登校の子どもの保護者アンケートから
ここからは、Branchを利用する保護者さんに向けて実施した、お子さんの友だちづくりについてのアンケート内容を紹介します(アンケート結果を一部抜粋し、適宜編集・校正をしています)。
オンラインで一緒にゲームをすることがきっかけで、友達ができた
友達が欲しいタイプだし、人類皆友達かのようなところがある。Discord で他の子が遊んでいるところに入り、一緒にマイクラで遊んだのをきっかけに、気づけば毎日マイクラで友達と遊ぶ様になった。
学校など不安が強いと場面緘黙になってしまう息子ですが、共通の話題があると気軽に知らない相手とも話せるようです。好きなゲームを一緒にオンラインプレイするうちに自然とお友達になり、最初は1対1でないと対応が難しかったですが、今では友達が友達を呼び、複数人で遊ぶ事も増えました。
大好きな鉄道がきっかけで最初は声でのやりとりから今ではゲームをやるようになりました!あと、マイクラでずっとやりたかったディズニーランドを「他の子ともやってみたい」と思い声をかけたら、他の子とも遊ぶようになった!
Branchのロブロックス部終了時間後、遊び部屋に数人が移動しゲームを続け、夕食時間になり解散する際に「次は明日遊べる?いつ遊べる?」と声を掛け合い、お友達になれました。
Branchの部活イベントや投稿で気になった子に以前は自分でメッセージを送っていました。同じゲームを遊ぶ中で自然と仲良くなったり、逆に遊びたい共通のゲームがなくなると遊ばなくなったりしています。
BranchさんのDiscord の遊び部屋で遊んでいた友達に話しかけて、一緒にマイクラをすることに!気が付けばDMのやり取りを始め、グループで遊ぶようになりました!私が間に入らずに遊べるているのは、初めてだと思います!
はじめは保護者がサポートし、次第に子どもが自分から友達とやり取りするように
最初は友達作りに親のサポートが必要でしたが、仲良しができると仲良しの子と一緒に他の子とも遊べるようになりました。話すのが苦手で聞く専門のようだった子ですが、話せるようになりました。
Branchでは好きなゲームを通してお友達が出来るようになりました。自分から誘うのが苦手な息子なので、最初は保護者の私が代わりに遊び募集をしたりしてました。
息子は幼稚園も退園し、不登校で社会的コミュニケーションの場というものをほとんど経験せずに過ごしてきました。
Branchに入会したばかりの頃は、そんな経験の乏しさからか友達が出来ても「相手に自分の気持ちをどのように伝えたらいいのか」「どう答えたらいいか」と困っていました。
私がこんなふうに言えばいいよ、と伝えても納得いかないようで、答えが出せないから遊ばなくなる事もありましたが、やっぱりお友達と遊ぶのは楽しくて。お友達の話し方を真似したりして、次第に嫌なことも伝えられるようになりました。
最近では友達と世間話をするようになって驚きです!世間話=雑談って簡単なようでものすごく高度なスキルだと思うんです。Branchに入会して本当に成長しました。
対面以外のコミュニケーションが選べるオンラインだから話しやすい
オンラインは顔出ししなくても良いので緊張しなくてすごく楽みたいです。声だけで話すか、チャットでのやり取りだと、コミュニケーションがとりやすいそうです。相手が近くにいなくて見えない方が息子の場合は緊張しないんだそうです。
「イヤ」や「わからない」が言えない、SOSが出せない、また衝突を怖がって避けてばかり、といった性格を、小さな頃からずっと心配していました。心理士さんからの、「ゲーム上でそうした人と人との関係性の構築/再構築の練習ができると良いのでは?」という助言もあり、Branchへの入会を決めたという経緯があります。
確かにゲームの世界だとハードルが下がるようで、「助けにきて」「○○持ってたらください」などと自然にスタッフさんや他の子どもたちに甘えていることに、まずびっくりさせられました。最近行くようになったフリースクールでも、以前に比べずっと自由に子どもらしく振る舞えています。
同じくらいの年の友達としゃべりたい、好きなアニメについてキャーキャー言いたい、ゲームがしたい~とよく言うようになりました。中1になって、ほとんど小学校の友達とも遊べず、もちろん行ってない中学での友達はできていないので、スマホをツールにつながりたいと。『ポケカラ』というアプリで、「ルーム」という機能があり、誰かがホストになって開いて、歌ったり、それを聴いたり、チャットで会話をしたりできるのですが、初めは聴くだけだったのが、次第にうちの子も一緒に歌ったり、ホストになってずっとしゃべったりするようになりました。時間的にも不登校の子がチラホラ寄ってきてくれるようで、自分以外にもけっこう不登校の人がいる、と実感できたようです。
友達とルールや順番を決めて一緒に遊ぶことができるようになった
最初は勝敗にこだわったり、自分がやりたくないゲームをやらないとだめだったりする場面で、怒って「もうやめる!」となり、接続を切ってしまったりしていました。
最近、半年ぶりくらいにまたbranchのお友達と遊ぶようになり、成長したなあと思った点です。
お互いのやりたいゲームを順番を決めてやる。
自分がルールが分からないゲームで、お友達がどんどん進んでしまったが、辛抱強く聞いて教えてもらっていた(途中、分からなくて涙目になっていましたが、諦めずに聞いていました)
時間になったらすんなりやめられる。
一年前の自分(保護者)に、「そんなに心配しなくてもお友達と仲良く遊べるようになるよ」と言ってあげたいです。
不登校の子どもに限らず、誰もがオンラインで友達付き合いをする時代に
新型コロナウイルス感染症の広がりによって、誰もが家から自由に出られない日々が続き、結果として学校や家庭のオンライン化も進みました。この数年で、不登校かどうかにかかわらず、オンラインで友だちを作る機会が増えていったと思います。
Branchオンラインコミュニティの利用者さんからは下記のような声を頂いています。
息子とオンラインコミュニティでつながった友だちたちを見ていると、好きな物を突きつめたいオタク同士が繋がり共有することで自己肯定感が高まっているのだなぁと感じます。また、昔はボイスチャットが苦手でしたが、オンラインコミュニティを通じて慣れてきた様子で、コミュニケーションスキルは確実に上がっていると感じます。
息子は、Branchで同年代の子と「どう話したら良いか」の練習ができています。
オンラインコミュニティでのやり取りの経験のお陰でリアルのフリースクールでも友達ができました。
オンラインなら、住んでいる場所の制約がなくなる分「共通の話題を持った子ども」が見つかりやすくなります。
学校をはじめオフラインで友だちができなかったとしても、オンラインで友達を探す・つくる方法もたくさんあるということを、この記事を読んだ保護者の方に知っていただければ幸いです。
「好き」で安心とつながりを育むサードプレイス
この記事を書いているBranchは、不登校・発達障害のお子さま向けの「学校外で友だちができる」Branchコミュニティを運営していて、以下のような特徴があります。
- 「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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