はじめまして。タカハシと申します。Branchを利用する保護者のひとりとして、こちらのサイトで記事を書かせていただくことになりました。
完全不登校の小3娘とともに、1年ほど前からBranchにお世話になっています(娘の不登校について、以前インタビューしていただいた内容はこちら)。私自身も不登校経験者です。
Branchの利用を通して経験したことや得た情報、そして娘との日常など、これから、保護者の目線でお届けできたらと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回ははじめての記事として、娘の眼科検診のことを書いてみようと思います。
以前に私がBranchの会員用コミュニティに投稿したご相談の続報になります。当初の質問は、「恐怖心の強いわが子が眼科の検診を拒否して困っているので、知恵を貸してほしい」という内容でした。
そのときの記事にあるように、Branchの先輩保護者さんたちからは、本当にたくさんのアドバイスを寄せていただきました。おかげで事前の準備をしっかり整えられたことは、本人にとっても親の私にとっても大きな安心につながったと感じています。
娘の眼科検診への再チャレンジは、全力で拒否した1回目とは打って変わり、ウソのようにスムーズに終えることができました。その経験をもとに、私自身の感じたことをお伝えします。
不登校をきっかけにした子どもの変化と、家族の戸惑い
「不登校をきっかけに、子どもが人目を気にして外出を怖がるようになった」というのは、よく聞く話だと思います。わが子も例に漏れず、不登校を機に家の外が怖いと口にするようになり、外出や家族以外との交流が難しくなってしまいました。
娘の場合、不登校以前はむしろ我慢強くて聞き分けの良いタイプの子で、予防接種などで困ったことも一度もありませんでした。それが、不登校になった途端に不安感や恐怖心を増大させ、まるで人が変わったように「いろいろなことができなく」なってしまったのです。家族としては戸惑いが大きく、対処に迷うことも多くありました。
振り返ってみれば、もともと持っていた不安の感じやすさゆえに、大人のいうことをよく聞く「良い子でいる安心」を選んでいたのかもしれません。そのことは親としてもなんとなく感じてはいて、過剰適応を心配したこともありました。
でも、いざこうして本人がありのままに不安や恐怖心を表現するようになると、そのあまりの変わりように、こちらの対処が追いつきませんでした。
眼科検診の失敗は、そうした、このくらい大丈夫だろう、という「従来のわが子」を基準とした親の思い込みと、「今のわが子」の現状との間に、大きな隔たりがあることを痛感させられたできごとでした。
先輩保護者さんのアドバイスから得た、3つの備え
「どうにか眼科検診を受けさせたいのですが」と私が投げかけた質問に対して、Branchの先輩保護者さんたちはたくさんの回答をくださいました。
ひとくちに「不安が強い」といっても、その原因は、ASD(自閉スペクトラム症)、HSC(Highly Sensitive Child:ハイリーセンシティブチャイルドと呼ばれる敏感な気質のある子ども)、ギフテッドのOE(過度運動)などといった特性由来のものから、社交不安症のような疾患までさまざま考えられます。しかし、こうしていろいろな人のお話をうかがってみると、原因や診断名は違っても困りごとの表出する状況やその対処法などに共通点を見出せることは多い、というのがこれまでの私の実感です。
多様な子どもたちが集うBranchの保護者さんは、皆それぞれのやり方で個性的なお子さんと向き合ってこられた方ばかりです。そして、ご自身の経験から得た知見をコミュニティ内で惜しみなく提供し、応援してくださる、心強い存在でもあります。
そんなみなさんからいただいた情報をもとに、私は次の機会に向けて、以下の3点を胸に刻みました。
- 不安の強い子を診察し慣れている医院やメガネ店を探す
- 不安が強く通常のように受診できないかもしれないということを先方に伝えておく
- 検診では何をするのか事前に本人に理解させておく
言うまでもありませんが、恐ろしいことに、初診時の私はこの1つさえも頭になく、ただ、ふらっとまるで近所のコンビニを訪れるような感覚で眼科の門を叩いていたのでした。
それから、ひたすら待つこと約半年。
Branchでの活動などを通じて行動範囲も広がり、徐々に以前のような元気を取り戻してきた娘が、ようやく「眼科、行ってもいいよ」と口にする日がやって来ました。
さっそく、ちょうどそのころ通いはじめていたフリースクールの近くに見つけた「小児眼科」と看板を掲げる眼科に電話をし、娘の年齢や不登校で学校での定期検診を受けていないこと、前に行った眼科では恐怖心のためきちんと検査を受けられなかったことを伝えました。電話口の相手からは、「やってみましょう」という言葉とともに、検査技師は男性でも構わないか、特に苦手だったのはどんな検査か、などといった質問を受け、予約は無事に完了しました。
検査の当日、フリースクール帰りに医院に足を踏み入れたときには、娘はとても緊張している様子でした。それでも、アドバイスどおりに検査の内容を事前に言い聞かせていたこともあり、前ほどの恐怖は感じていなかったように思います。
検査してくれたのは、若い女性の検査技師さんでした。
顔をこわばらせたまま、機器を覗きこむ形の検査をいくつか終えたあと(眼圧検査はありませんでした)、「上」とか「右」とか答える視力検査がはじまります。
次第に見えづらくなってくると答えを言いよどむ娘の様子を見て、担当技師さんが口にしたのが、「間違えてもいいよ」の一言だったのです。
完璧主義と不安感
「間違えてもいいよ」と言われて、娘の緊張がふっと解けたのを感じました。
肩の力が抜け、自信のない様子ながらひとつひとつ答えていきます。迷うたび、「あてずっぽうでも大丈夫だよ」「こっちかなー?と思ったのを言ってくれたらいいから」と励ましてもらい、前回とは打って変わってあっさりと検査を終えられたことに、こちらは拍子抜けしてしまうほどでした。
同時に、娘の不安には、彼女の完璧主義が大きく作用していたことにも気づかされました。
たしかに、テスト問題でひとつ間違えただけでも「自分はダメな人間だ」と激しく落ち込んだり、大人の望む答えを探して欲しいものを口にできず、誕生日プレゼントを貰いそびれかけたりしてきた子です。眼科検診でだって、聞かれた問いに間違えた回答をしたくはないし、もしも視力が悪いという結果が出たときに受け止めきれない自分を予想して、不安が増してもいたことでしょう。
完璧主義が強い子のなかには、失敗や見通しの立たなさへの強い不安から、挑戦を回避しようとする傾向がある場合も多いと言います。何でもすぐ諦めてしまう日ごろの娘の姿を思うと、前回、眼科医院から飛び出さんばかりに逃げまどっていた行動にも、納得のいくものがあります。
Branchを通じて教えられた事前の備えを万端にし、失敗の原因になりそうな要素をひとつひとつ取り除いて検診に臨んだからこそ、今回、娘の課題としての完璧主義をはっきりと見出すことができたのだと感じています。恐怖を呼び起こすたくさんの原因のなかでパニック状態に陥った前回には気づけなかったことです。
また、子どもの不安や反応にしっかりと対応できる医療従事者の存在の大きさも、感謝の念とともにあらためて思わずにはいられませんでした。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」オンラインフリースクールを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じように「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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