不登校や行き渋りの子どもが多い今の時代、母子登校・付き添い登校(以下、「母子登校」といいます)を経験するご家庭も多いのではないでしょうか。
母子登校をすると、子どもの不安やストレスを一時的に軽減することができます。
しかし、保護者も大変な思いをすることがあるため、慎重に判断する必要があります。
今回は、Branch利用者さんの声をもとに「母子登校」について考えてみました。
母子登校・付き添い登校とは
母子登校とは、何らかの事情で1人で学校に行くことができない子どもに、保護者が付き添って登校することを言います。
送迎のみの付き添いの場合もあれば、授業や給食などにも付き添う場合もあります。
過去(現在)に母子登校をしていたことはありますか?
あれば、どのような状況だったか教えてください。
学校に行き渋るようになり、私と一緒ならギリギリ行くので付き添っていました。
一日中子どもの隣で自分の椅子もなく、給食もないので本当にしんどかったです。
おにぎりを持参して食べていたら、アレルギーの子もいるかもしれないので持ち込みはやめてくださいと言われてそれもできなくなりました。
子どもは次第に教室にも入れなくなり、廊下で半日過ごして帰ったり、クラスメイトにはお母さんと一緒でずるいと言われたり、子どもにも自分にも辛い期間でした。
子どもが「お母さんが教室に来てくれるなら学校に行ってもいい」といってたので、支援級で1〜2時間一緒に過ごしました。
うちの子は、だんじりの話を先生とするという目的で学校に行っていたので、先生にだんじりの話をしたり、だんじりのDVDを見たり、他の子にだんじりのことを教えたりしてました。
休み時間は、クラスの友達と私も一緒に鬼ごっこをして過ごしました。
自然と他の子とも仲良くなり、今も休み時間に学校に行くとみんな歓迎してくれます。
2年生になると、通常級の廊下起立待機になりました。
理科室が近く、理科専門の先生が白髪でおじさんだけど白衣が似合っててかっこいいので、会えるのが楽しみでした。
白衣っていいなぁと思ってると、時間があっという間に過ぎていきました。
1年の時の支援級の先生は、2日連続スリッパを忘れた私に上靴をくれました。
終業式の見通しが立てば選択して参加できるかも…というと、相談に乗ってくれました。
今は、定年してうちの子が行ってた放課後デイサービスで働いてます。
あと、始業式で先生が、全校生徒に「帽子と名札をしてない人は立ってください。あなた達の帽子と名札はどこにあるんですか?」という問いに、「いえー!いえにあるー!!いえー!」と低学年が叫んでいるのがライブみたいで、すごく可愛くて面白かったです!
学校付き添いは正直面白いです!
支援級に転籍してから1年間、毎朝一緒に教室まで行きました。
本人が「一人で行きたくない」「他の子に会うのがいやだ」と言っていたためです。気分が落ち着いたら教室に入っていくことができましたが、段々とそれも難しくなっていきました。
行き渋りが強くなった頃、担任の先生から「お母様も教室に入ってもらって構いません。短時間でもいいので教室で活動する時間をできるだけ持ち続けましょう」と提案があり、しばらく授業にも付き添いましたが、子どもは荒れる一方でした。
癇癪を起こして叫んだり暴れる息子を抑えながら、「なんのために、誰のためにこんなことをしているんだろう」と、何度も涙が出そうになりました。
最終的には、本人が行きたくないと言っている場所へ無理に行かせることに疑問を持つようになり、「行きたくない日は行かなくていい、休もう」「今まで無理をさせていたことに気づかなくてごめんね」と伝えました。
それからは、息子は少しずつ落ち着いてきています。
不登校になって、お母さんが一緒じゃないと嫌!となり、先生に許可を得て教室内(支援級)で一緒に過ごしています。
学校での先生の圧の様なものを感じたり、支援級なのに支援されていない様子を目の当たりにしたり、通常級での他のお子さんと先生のやり取りを見て、先生も疲れているんだろうけど、そう言う言い方ないよな!!と、モヤモヤしたり。
私が、学校に行くのが嫌になっています。
行き渋りで学校に遅れて登校するとき、教室まで親が連れて行くというルールだったため、一緒に登校していました。
上履きをはいてから教室へ行く間に葛藤があり、足がすくみ途中で帰宅したこともありました。
教室に入れない児童が行く「ふれあい教室」があり、そこに数時間一緒に行ったことがあります。
教室と距離が近く、なんだか落ち着かないし居心地も悪く、数回しか行くことはありませんでした。
小1の行き渋り時は、「行く」となった時は車で送迎。
学校に着いても車から降りられず、車外で出てくるのをぼーっと待っていました。
なんで行きたくないのかなぁと考えたり、たまにイライラして叱責したり。
車から出ても、すぐには教室に向かえず、校庭ビオトープで先生と虫取りしてから教室に向かうことも。
「お母さんは帰ってください」の言葉のままに、担がれて連れていかれる子どもを見送ったことも。
今考えると、全ての対応がまずかった。
小2でなぜか学校に行ってみると言い出して、春休みと掃除の時間のみ母子登校。
校庭でクラスメイトと遊ぶ様子を遠くから眺めて、集団内での行動を観察していました。
掃除の時間は、一緒に教室へ。
クラスメイトから私も話しかけられて、「どうして来ないの?」「明日は来る?」などの質問には苦笑いで「どうかなぁ〜?」とかわしていました。
母子登校は精神的に辛くはなく、我が子を含めて子ども達の観察をして楽しんでいました。
過去に母子登校中のトラブルはありましたか?
どのようなトラブルだったかと、どのように対処したか教えてください。
「ママと一緒なら行ける、教室に入れる」と言うので、登校するときはいつも母子登校です。
不安だから私を求めているのに、手を繋いで歩いていたことを、校長先生に「それは家でやってください。他のお子さんもいますから」と言われました。
悔しかった、悲しかった、ため息しか出ませんでした。
安心すれば我が子は手を放し友達の所へ走って行けることもありましたので、子供が手を繋いできた時はしっかりぎゅっと繋ぎました。
放課後に登校した際、下校中の1人の男の子が小声でぼそっと「弱そう」と言いました。
息子が角材で作ったマイクラの剣を手に持っており、それに対して言ったようです。
聞こえてないといいなと思いながら、ごまかすために私が色々話しかけた記憶があります。
その場では息子は反応しませんでしたが、後日突然思い出し、怒り爆発しました。
そこから学校へは放課後でも行けなくなりました。
支援級のクラスメイトが大きな声で話しかけてきた時や、そっとしておいてほしい時に何度もそばに来て声を掛けられると、癇癪を起こします。
大抵は担任が気づいて、お互いが離れられるようどちらかを誘導してくれるので、私は自傷をブロックしながら落ち着くのをひたすら待ちます。
月に数回、短時間で登校しますが、ほぼ毎回このパターンです。
母子登校ののちに、登校するようになったエピソードのご紹介
Branchを利用しているご家庭の中には、完全不登校だったお子さんが母子登校をきっかけに、再度登校したエピソードが時折見られます。
2つのエピソードをご紹介します。
小4から不登校のお子さんのエピソード
急に不登校になったのは小4の5月。希死念慮の状況で、消えたい、とばかり言ってました。
そこから、すこしずつ傷を癒し、Branchと出会ってから、他にも学校に行ってない子はいると知り、「私はBranchで、世の中を勉強してる」と言って少し自信を取り戻した小4の3月、1時間だけ登校。
不登校のきっかけとなった担任と、やはり自分は合わない事確認して、登校しない事を決めました。
小5で担任が変わり、2度だけオンラインで雑談。
学校に行くそぶりが無かった中、9月に1度だけ母子登校し、保健室で過ごす。
身体測定してみる?という本人が希望してなかった事を養護教諭に提案され、がっかりして、やはり登校しないと結論づけ校長にも申し入れしました。
小5の11月に、副校長に自分の希望する登校スタイルを申し入れ、3月まで、月1回位のペースで母子登校しました。
小6は、5月に学年変わって初めての登校。
小学校玄関まで送ったら「ママここで帰っていいよ」と言われ、急激な親離れを感じました。
その後、進学を希望する通信制中学の見学をした後、学習習慣や日中に起きる習慣を付けたくて、7月に1日登校。
9月初旬に2日連続で学校通って、環境が自分に向いてないことを確認し、希望する通信制中学に受かりたい一心で、翌週から公文式に通い始めました。
「こうしたい」と言葉に出来る前に、「こういうのは嫌だ」というのを、少しずつ言語化し、それを積み重ねたことで、自分で選択することが出来るようになった気もします。
小5から不登校のお子さんのエピソード
小5の7月から不登校だった息子が突然「6年になってから一度も学校に行ってないから一度ぐらい顔を出そうかな」と言い出して、付き添い登校しました。
息子の場合、長い間会っていなかった友達に会いたいということだったので、その点を担任に伝えたところ、1時間だけ「学活」(という名の自由時間)にしてくださり、その時間に行きました。
空いている教室で男子の友達数人が迎え入れてくれて、卓球をして遊びました。
最初は少し緊張している様子でしたが、卓球が楽しかったようで、帰り際は笑顔でした。
友達と卓球したのが余程楽しかったのか、それから週に1日、20分の中休みに私が付き添って遊びに行っています。
担任の先生は、どんな形でも良いので、息子の好きな時に来てくれれば嬉しいと歓迎して下さっているので、その言葉に甘えています。
卒業まで、本人が望めばこのスタイルでいこうかなと思っています。
卒業式も出るようなことを言っており、親の方がビックリでついていけてません。
今回の件で、担任の先生にちょっと頼み難いなと思うことでも、遠慮せずに思い切って伝えてみた方が良いなと思いました(断られたらそれはそれで別の方法を考えるぐらいの気持ちで)。
母子登校のストレスを軽減するには
母子登校は、お子さんの不安を軽減する効果がある反面、保護者の方の時間も体力も奪います。
また、先の体験談にもあったように、お子さんの辛そうな様子を目の当たりにすることもあり、精神的なストレスを感じることも多いでしょう。
母子登校によるストレスを少しでも減らすためにどうすればいいかを、ここでは考えていきたいと思います。
母子登校のメリットを考えよう
母子登校のメリットを考えてみましょう。
明確なメリットがあると、気持ちも前を向きやすいのではないでしょうか。
お子さんにとってのメリット
- 保護者の方と一緒に登校することで安心できる
保護者の方にとってのメリット
- 学校の雰囲気が分かる
- お子さんの学校での様子を確認できる
- お子さんが言語化できない行き渋りの理由が分かる可能性がある
- お子さんにとって必要な環境調整が何か、考えるヒントを得られる
相談先と繋がろう
母子登校は予想以上に長期にわたることも少なくありません。
先の見通しが立たない付き添い登校に疲れ切ってしまう前に、気軽に相談できる相談先を複数用意しておくと安心です。
- 家族、友人
- スクールワーカー、スクールソーシャルワーカー、特別支援コーディネーター
- お住まいの自治体の担当の課
- 無料の行政相談
- 児童相談所
- 医療機関 など
相談先はひとつにしぼるよりも、複数の機関と繋がっておくと、すぐに相談ができない時や、違う視点からの意見を聞きたいとき、自分が納得できる答えを見つけたいときなどに役立ちます。
疲れてしまうと、相談先を探す気力もなくなってしまうので、元気のあるうちに探しておくことをおすすめします。
こちらの記事に、子どもと保護者の相談先や体験談が掲載されているので、参考にしてみてください。
期間を決めよう
母子登校で保護者の方が疲弊してしまう原因の最たるものは
「終わりが見えないこと」
ではないでしょうか。
母子登校が長引き、親子ともに疲れてしまうこともあるかもしれません。
そうなる前に、付き添い登校をする期間を決めておくことも一つの手段となります。
その期間が過ぎてもまだ付き添い登校が必要そうであれば、学校の環境調整が適切か再度検証したり、ほんとうに付き添い登校が必要か、もう一度考えてみても良いかもしれません。
それでも母子登校に終わりが見えない時は
子どもの様子をしっかり観察しよう
母子登校には一定のメリットがある一方で、体験談を聞いてみると、子どもの気持ちを無視して無理に行かせてしまい、結果的に子どもの精神的な負担が増してしまう可能性もあると分かります。。
同時に、辛そうな様子の子どもを学校に連れて行くことで、保護者自身も疲弊してしまう状況になることも。
母子登校は、子ども自身が、1人で学校に行くことが心配で保護者についてきてほしいという場合には有効な手段の一つとなるかもしれませんが、理由がほかにある場合、必ずしも良い結果をもたらすわけではありません。
保護者が子どもの様子をしっかり観察して気持ちを理解し、対処することが重要です。
今必要なことは、本当に母子登校なのか
母子登校をしていても一向に行き渋りが治まらず、ともすれば学校に行きたくない気持ちは強まっていく…。
その場合はいったん立ち止まって「今必要なことは、本当に母子登校なのか」を考えてみてください。
もしかすると、本当に必要なことは休息なのかもしれないし、安心して通えるようになるための環境調整かもしれません。
休息しても環境調整しても、母子登校の終わりが見えない、それどころか行き渋りは強まる一方という場合は、一度ゆっくり休むことを考えたほうがいいかもしれません。
学校を休ませることに不安や抵抗を感じる保護者さんも多いと思いますし、それは当然の感覚です。
もし、ご自身の判断に迷いがあるときは、Branchが開発に携わった「学校やすんだほうがいいよチェックリスト(医師の監修あり)」を参考に、登校を続けるか一度休むかを考えるのも選択肢のひとつとしてお伝えします。
休息してエネルギーがたまってきたり、環境調整によって学校が安心して通える場所になったりすると、1人で登校できるようになるケースもあります。
最後に、Branch保護者の方からのコメントを記載します。
母子登校をしている保護者さんも、お子さんも充分頑張っています。
親子の笑顔が増えることを願っています。
母子登校をすることでお子さんが安心できて、学校での時間を楽しく前向きに過ごすことができるような場合、かつ保護者の方にとっても負担でない場合には、母子登校が有効なケースもあるとは思います。
お子さんの様子をしっかり観察して、気持ちに寄り添うことが一番かなと思います。
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この記事を書いているBranchは、不登校・発達障害のお子さま向けの「学校外で友だちができる」Branchコミュニティを運営していて、以下のような特徴があります。
- 「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
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