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発達障害啓発週間に寄せて、保護者が願うこと – Branchオンラインコミュニティアンケート

毎年4月2日は、国連が定めた「世界自閉症啓発デー」です。また日本では、世界自閉症啓発デーからの1週間、毎年4月2日〜8日を「発達障害啓発週間」と定められています。今年の4月も、発達障害への理解促進のためのさまざまな啓発活動が全国各地で行われていました。

発達障害・不登校の子ども向けのオンラインコミュニティや、メンターサービス、教室運営などを行っている私たちBranchも、発達障害啓発週間に合わせて、Branchを利用してくださっているお子さんや保護者さんたちのお話をお聞きしました。

この記事では、発達障害啓発週間に合わせて行った、Branchオンラインコミュニティでの保護者アンケートに集まった声をご紹介します。

目次

発達障害のある子を持つ保護者が、周囲の人に知ってほしいこと

まずは、「発達障害のある子どもの子育て・教育について、保護者として、周囲の人たちに知ってほしい、理解してほしいことはなんですか?」という質問への回答をご紹介します。

■外から「見えにくい」発達障害への理解を


発達障害とは、先天的な脳機能の発達の凸凹(でこぼこ)と、過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、生活のさまざまな場面で困難が生じる障害のことです。発達の凸凹は外からは見えにくいこと、環境との相互作用によって困り事も強まったり弱まったりすることから、なかなか理解してもらいにくいと感じている保護者さんも多くおられるようです。


「発達障害は一見して分かりにくい障害なので、いろんな場面で理解のない対応をされることが多いです。かつての私も息子に対して、適切な言動を取ることができませんでした。

それは発達障害についての知識がないゆえだったので、やはり教育現場や子供に関わる方々はもちろんのこと、一人でも多くの人が発達障害の人が抱える生きづらさを知って、理解してくれたらと思います」

「子ども達が学校や集団の中で取る問題行動には、感覚過敏などの様々な理由がそれぞれにあって、それは決してわがままや自分勝手な行動ではないと言うことを理解してくれたら、保護者としても嬉しいです」

「合意的配慮を学校に求めたときに、1から息子の特性について説明をしなければならず大変でした。先生には、発達障害の特にLDについてその子に合わせた学習方法をもっといろいろと提示してほしいなあと思いました」

「敏感やこだわりはワガママとは違うこと。親の対応が甘やかしていると見られることがあるが、そうではないということ。いろいろな方法を試して、その子と親にとってよりよい対応をしていることを知って欲しい」

■障害は相互作用、環境が変われば誰もがマイノリティになりうること


特性の強弱や困難の度合いによって、「発達障害」の診断がつくかどうかは異なりますが、特性の凸凹自体は大なり小なり誰でも持っています。「普通は○○であるべき」といった先入観を手放して、一人ひとりのちがいを尊重してほしいという声も多く集まりました。

「実はASD,ADHD,LDなどの傾向があることは特別ではなく、自分を含めて身の回りに当たり前にあることだと知って欲しい」

「『〇歳になれば普通できる』とか、『〇歳にもなってそんなことができないの?』とか、世間一般、多数派、マニュアル通りには行かずゆっくり成長する子たちもいるということ。繊細で慎重な子もいるということ。病気ではなく、特性、気質という部分が大いにあるということ(風邪やケガのように医者にかかれば良いという問題ではないということ)」

「自分の子供時代はこうだったとか、うちの子はこうだったからとかの目線で見ないでほしい」

「生まれつき自分と異なる感じ方、考え方をする人達が存在するということ。定型発達と非定型発達に優劣は無いということ。共感できなくてもただ理解してほしい」

「ゴール(目的)に立ち返り『~であるべき』『~すべき』と思っていることを一度手放してみると、発達障害の有無に関係なく、多様な人々に共に生きやすい社会が作れる気がするので、『その”べき”は何のため?』を一緒に考えていきたいです」

「子どもの発達障害のことを伝えると、時折『発達障害=突出した才能がある』というリアクションをされることがあります。年々、発達障害に対する社会の理解は深まっていると感じる反面、先述のような言葉をかけられることも多いです。『だから大丈夫だよ』と。もちろん、私たちを思いやる気持ちからそう言って下さるのでありがたいです。でもごくごく平凡で、加えて凸凹が大きく色々なことにつまづいてしまう不器用な我が子を見ていると、目に見える突出した才能があってもなくても、垣根を作らずありのままを受け止めてほしいと思います」

発達障害の当事者・家族が過ごしやすい未来に向けての願い

次に、「発達障害のある当事者や家族が過ごしやすい未来に向けて、社会に対する願い(制度や環境の変化など)があれば、教えてください」という質問への回答をご紹介します。

■多様で包摂的な教育を、もっと


発達障害のあるなしにかかわらず、さまざまな特性を持った子どもたちが、自分に合った学び方で学べるようにと、教育のあり方についての意見が寄せられました。

「クラスで勉強できないから普通級から支援級にとか、排除しないでほしい。もちろん、勉強しやすい環境は支援級かもしれないけど、同じように教室で学べる環境と支援を当たり前にしてほしい。特別なことではない、好きな場所で好きなことをして生きる権利はある。親がすみませんと謝らなくても済む社会。多様な人が生活できるように、社会も変わってほしい。繋がりを大切にする社会へ」

「やはり義務教育の在り方が、昭和のころから変わっておらず、実際の生活でかなり重いので、義務教育に選択なりできる余地があるといいなと願っています。小中の9年間で、みな自信を無くしたり自分を責めたりする傾向になっていく気が……もったいないですよね」

「多数派とは違う感覚や感性で生きている子どもが一定数いる前提で子どもと接してほしい。教育については、今のシステムに合わなかった場合の選択肢を増やし、ひとりひとりの子どもの安心できる居場所や学べる環境を本気で整えることに取り組んでほしい」

「発達障害の子に対してだけでなく、定型の子も同じく、選択肢がたくさん用意されている社会になればいいなあと思います。例えば学校に行く行かない、授業に出る出ない、通学したりオンラインで学んだり、学び方も様々あって、その子にあった方法が通常の学校教育で行われるような社会になるといいなと思っています」

■家族への支援の充実を


発達障害の子どものいる家庭・家族への経済的・心理的サポートへの期待の声も上がっています。

「当事者、家族(特に母親)へのメンタルサポートの充実した社会になってほしい」

「家庭で担わなければならない部分が多いと感じています。学校に行かない、学校の授業を受けることができないだけで保障されるべきものが保障されなくなる構造をどうにかしてほしいなぁと。知識と教養の習得を求めようとするとどうしても費用の負担がすごくて諦めなければならないものが諸々あります。公費で補ってもらえないなら、せめて母親である自分も心置きなくフルタイムで働いて費用の負担くらいしたいけれど、それも現状難しいです」

「おそらくまず最初にぶつかるのは、金銭的な問題?とつい最近思いました。私は家で子供を見るために仕事を辞めましたが、それにより使える金額も制限され、どこかに助けを求めたくても求められないことが増えました。そのため、お金をあまり気にせず、子供の心の安定が叶う環境が欲しいです」

■多様性が尊重される世の中へ


多様性が尊重され、あらゆる人にとって生きやすい世の中になってほしいという願いを語ってくださった方もおられます。

「苦手を克服させようとせず、苦手は苦手のままでもいいんだよというおおらかさ。だれかの苦手は他の誰かがカバーしてあげればいいという共助の気持ち。人間はプログラミングを書き換えればアップデートしていく機械ではないから、皆が皆そのままで、ほどよく楽しく生きていけるような社会はどうやったらつくっていけるんでしょうか」

「本当に多様性を尊重する世の中になって欲しい。多様性が尊重される社会は、すべての人にとって生きやすい世の中だと思う。すでに世の中は、『皆、均一に』では、ない。特性の強みを活かせる環境を国や行政が積極的に整える事は、長い目で見れば、発達障がい児達が活躍し、日本の国力を底上げし経済的効果も上がる、と思う。ごく一般的な発想ではない、あっと驚く発想力を持っている子たちなので、もっと大切にされるべきと思う。通いの小児科医は、『最先端の人は、そのような人ばかりですよ』とのこと(笑)。どうにもこうにも、既存のモノを変えずにはおれない、この子たちは、役回りが、突破口、開拓者、革新者なのでしょうね」

発達障害のあるわが子と向き合うなかで、保護者の自分も、変わってきたこと

最後に、「保護者として、これまで発達障害のあるお子さんを育ててきて、考えたこと、学んだことなど、ご自身の変化について、教えて下さい」という質問への回答をご紹介します。


「私はもともと福祉職の支援員として働いてきた。家族や本人の思いを尊重できるように、私なりに支援してきたつもりだが、いざ我が子が発達障害になると。ことばで説明できない、ハッキリ言えない気持ちがすごくあって、仕事で偉そうにしてきたことが実は全然支援できてなかったのかと痛感した。すごく傷ついて悲しんで辛いことや不安もたくさんあるけど、この子に寄り添って生きる私の人生もなんだか楽しく思えてきた。二年たったから、落ち着いてるから、胸張って言えるのかも。言い聞かせてるのかもしれません」

「マイノリティと呼ばれる人に対して『私は差別なんてしないよ』という自分目線のみのスタンスで生きてきました。今はマイノリティであることそのものでなく、その後ろにある、目に見えないであろう様々な生きにくさ、辛さに思いをはせるようになりました。助けることはできないかもしれないけれど、気持ち的に寄り添うことができるようになったのかもしれないです」

「息子に居心地のよい楽しい世界に連れてきてもらったと感じている。『困ってますよね、おつかれですよね、大変ですね』ばかりではない」

「当事者になって知ったことがたくさんあること。当事者にならないとなかなか理解が難しいということに気づいたこと。世間の一般常識とはまったくかけ離れた世界での子育てが存在するということ」

「不登校になり、一般的なレールから外れて、子どもの心の叫びに耳を傾けられた。子どもの命が守れた。お陰様で、常識的な『~べき』思考から、自由になれた。道なき所を進むので、これからのことには、不安にもなったりするが、なんとか切り拓きたいと思う」

「定型発達でもそうでなくても育児は大変!ということです。時々、子どもの特性にばかり目がいってしまったり、なんで私だけこんなに大変なの??と被害者意識に支配されてしまうこともありますが、育児の大変さとのしかかる責任は親ならみんな一緒かも、とちょっとニュートラルに考えられるようになりました。たまたま周りに楽しみも大変さも共有できる人がいたからだとは思いますが、自分も垣根を作らないことは大切だなと思いました」

「まず自分が発達障害について全く無知だったので、『息子が発達障害かもしれない』と思い始めた頃に本を読んだり勉強したりして、これまで息子だけじゃなく自分では気付かない間に誰かを傷つけてきたんじゃないかと悩んだりしました。まだまだ世間の常識にとらわれることもありますが、息子のお陰で、かつての自分と比べたら、違う視点からも物事を見られる様になったのかな、自分もちょっと成長できたのかなと思うこともあります」

「まるでパラレルワールドのように、今まで全く見えていなかった世界があったことに気づいた。人生観、価値観がひっくり返った。子どもをきっかけに夫も自分にも発達障害はあって、それが特別ではなく、当たり前に身近にあることと知ることができた。それが問題なのではなく、自己理解を深め、自己のコントロールの仕方を身につけるための学びや練習が必要ということが良く理解できた。今、夫は訪問看護で、私も就労移行支援でその作業に取り組む機会があるので、子どもにもいずれそれを生かせると思う」

「息子の発達障害があるとわかってから、世の中のひとつひとつのことに目や気持ちを留めるようになりました。息子には大きすぎる音、息子には辛すぎる味、文字を書くことがあんなにも困難な事や、困難だからこそできないこと・できること、掛け算を覚えることがどれだけ難しいかなどなど。どう聞こえ・どう見えて・どう感じているのかなと、息子の視点になってみると、『ああそうか。そりゃ大変だ』と思うことがいっぱい出てきました」

「学校へどうしたら行けるか模索していくうちに、息子は日本の学校には合わない外国人(異文化、習慣の違う人達)だと思うようにするとと楽になれた。生きづらい所で踏ん張らず、生きやすい環境、方法、人との出会いを一緒に見つけていければなぁと思う。
笑うこと、歩くことができれば、なんとかなると心がけている」

「息子が発達障害でなかったら気づけなかったことがたくさんあったと思います。いい意味で固定概念を壊して新たな考え方をインストールし続けることが日常です。笑
ただ、息子がこの世界で生きていくのは本当に大変だなあと思っているし、親自身の言動や情報の集め方次第で息子の人生に大きな影響を与えてしまいそうで、びくびくしている自分もいます。難易度が高い子育てだなーと思ったり、親にできることは本当に限られているなーとも思うし、毎日感情の起伏が激しいです・・・(反省)」

「子どもと関わることで、自分自身と向き合わざるをえなくなりました。そこから、子どももひとりの人として接することや、障害ではなくその子自身を見つめることの大切さを学べた気がします。
私は子どもだから話してもわからないと思っていた所がありました。でも、今では敏感に子供は感じとる力があり、言葉にはできなくても沢山のことを考えているなと感じます。ひとりの人としてしっかり見つめ、見守っていきたいです」

子どもも保護者も、ありのままを大事にしながら学び合い、変わっていく

今回のアンケートでも、本当に多様なお声・エピソードをお寄せいただきましたが、Branchオンラインコミュニティでは、子ども同士、保護者同士が日々さまざまな話題で交流・活動をしています。

ご興味のある方は、ぜひ以下のページからBranchオンラインコミュニティについてお問い合わせください。

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 研修を受け、発達障害の特性にも理解があるスタッフが献身的にサポート

 自分の「好き」から 遊べるイベントが盛り沢山

 特性に沿ったお子さまのサポート方法をスタッフが一緒に考案します

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ライター/著者プロフイール

中里 祐次のアバター 中里 祐次 代表取締役

Branch代表。早稲田大学卒業後、㈱サイバーエージェント入社。子会社の役員など約7年勤めた後にサイバーエージェントから投資を受ける形で独立。自分の子どもがレゴが好きで、東大レゴ部の方に会いに行った時に目をキラキラさせていたのを見てこのサービスを思いつきました。好きなことは、漫画やアニメを見ること、音楽を聞くこと、サウナ、トレイルランニング、かなり多趣味です。Branchの子どもたちに鍛えられて子どもが好きな遊びはたいていできるようになりました。

会社概要

Company

社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


所在地

〒150-0034 東京都渋谷区代官山町9-10 Sodacco 2T02


株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


会社概要

Company

社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


所在地

〒150-0034 東京都渋谷区代官山町9-10 Sodacco 2T02


株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


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