
こんにちは。不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branch(ブランチ)です。
「集団の場が苦手」「学校に行かせなきゃいけない」というプレッシャーの中で、お子様のつらそうな姿を見て、心が張り裂けそうな思いをされている保護者の方も少なくないでしょう。しかし、お子様が本当に困っていることを理解し、その特性に合った居場所を見つけることで、状況は大きく好転します。
本記事では、小学一年生のケンタくん(仮名。面談内容ではS君)が、発達障害の診断を経て学校へ通わない選択をし、オンラインの居場所であるBranch(ブランチ)と出会うことで、笑顔を取り戻すまでの道のりを、お母様であるきなこさん(仮名)のインタビューを元に深掘りします。また、ご自身が心身を壊す経験をされたきなこさんが、どのように自己のメンタルケアを確立し、家族全体で幸せに生きる道を選んだのかについても詳しくお伝えします。この体験談が、現在子育ての課題に直面している皆様の「心が軽くなる」きっかけとなれば幸いです。
※こちらの記事は下記のインタビューPodcastを記事にしております。
・不登校の子の居場所づくりとその重要性 – 保護者インタビューvol4
・不登校の子を持つ親のメンタルケアの重要性-保護者インタビューvol.5-
I. 発達障害の診断と、母が抱えた「診断名」への葛藤
ケンタくんの「発達がゆっくりかもしれない」という気づきは、1歳半頃、歩くのが遅いと感じたことに始まります。しかし、本格的に発達障害だと分かったのは、保育園に入ってすぐのことでした。
保育園の先生から検査を勧められ、診断を受けることになったきなこさんですが、検査を受ける前が「一番しんどかった」と振り返ります。
「診断名がつくことで、この子にとってマイナスに働いてしまったら嫌だ」という強い不安があったため、なかなか検査に踏み切るための区切りがつきませんでした。
その際、保育園の先生から「診断名が何であるかは関係ないです。それよりも、その子が何に困っているのかを分かるための検査だ」という言葉を受け、ハッとされたそうです。この言葉により、ケンタくんの困り事を理解するため、検査を受ける決意が固まりました。診断名がついたことで、困り事や課題感が分かりやすくなるという理解を得たことは、その後の支援の方向性を定める上で大きな一歩となりました。
診断が確定した後、きなこさんの周りのご家族、特に旦那さんやご親族は、非常に協力的でした。多くの家庭で見られるような「診断を受け入れられない」といった軋轢はなく、皆が「分かってよかったね」と受け止め、「何に困っているのかを見つけていこう」という姿勢で一致団結しました。
II. 集団生活での壮絶な経験とホームスクーリングの決断
ケンタくんは現在7歳(小学一年生相当)ですが、学校には席を置いているものの通っていません。その決断の背景には、保育園時代における集団生活での壮絶な経験があります。
ケンタくんは保育園に通っていた際、かなりの苦痛を感じていました。きなこさんはその様子を「泣き叫ぶという言葉に合わないぐらい」「まさに地獄みたいな感じでした」と表現されています。
集団の場所や敷地に入ることに困難があり、また、小さい子が苦手で、1対1の空間の方が好ましいという特性がありました。
このつらい様子を見て、きなこさんは「この子が苦しむ必要があるのか」という疑問に直面します。苦手なところに無理に合わせて頑張らせることに意味があるのか、そして何より「この子らしさ」が失われてしまうことをきなこさんは嫌だと感じました。
その結果、ご家族と相談し、ホームスクーリングでやっていこうという決断に至ります。校長先生にも特性を説明したところ、「自分に合ったところが良いのでは」と理解を得られたため、学校とのやり取りは現在、主に教科書の受け渡しのみに絞られています。
この決断は、他のご家庭では家族の反対などにより時間がかかることも多いそうですが、きなこさんは「この子らしさを守る」という強い思いから、比較的スムーズに決められたとのことです。
III. Branch(ブランチ)との出会い:居場所の確保と日々の劇的な変化
ホームスクーリングという選択をした後、きなこさんはケンタくんにとっての「居場所」を探し始めます。
居場所を探し始めた一番の動機は、きなこさん自身の「孤独感」でした。自分たちと同じ境遇にある仲間を探したい、という思いが強くありました。
なかなか1対1の空間を提供できるフリースクールやフリースペースが見つからず苦労する中、きなこさんはテレビでBranch(ブランチ)代表の中里さんが出演している番組を目にし、「ここだ」と感じて入会されます。
保育園時代に「地獄のようだった」時期と比べ、現在(7歳)のケンタくんは、毎日を楽しく過ごしています。
• 友だちができた。
• よく食べるように、よく寝るようになった。
特にBranch(ブランチ)のオンラインコミュニティで友達ができたことは、ケンタくんにとって非常に大きな喜びとなりました。ゲーム(Robloxなど)が好きという共通点を通じて友達と繋がり、ほぼ毎日オンラインで一緒に遊んでいるそうです。
オンラインでの交流が続いた後、Branch(ブランチ)内で企画された「オフ会」で、ケンタくんは友達と初めて直接顔を合わせました。
その時のケンタくんは「泣きそうなくらい嬉しそう」で、きなこさんは「親には見せない顔」を見せてくれたことに感動したといいます。母子分離が難しかった時期を知るきなこさんにとって、友人と楽しく過ごす息子の姿は、大きな喜びでした。
IV. 母子分離の克服と偏食への「変えない」対応
ケンタくんの特性の中で、特にきなこさんが苦労されたのが、「母子分離」と「偏食」への対応でした。
ケンタくんは保育園を辞める前後の時期、母子分離不安が非常に強く、母親からなかなか離れられない子でした。ずっと子どもと一緒にいる生活は親にとっても大変な負担であり、きなこさんは「ずっと我慢して、最後にバタンと倒れてしまうタイプ」だったため、結果的に2度体調を壊してしまいました。
この経験から、きなこさんは「最終的に子どもや夫に心配をかけてしまう」と悟り、我慢するのをやめようと決意しました。
我慢をやめ、自分の時間を持つための第一歩として、きなこさんは母子分離の練習を始めました。
取り組み方は、10分から始め、20分、30分と徐々に離れる時間(距離)を伸ばしていくというものです。
重要なポイントは、あえて子どもに「何分後に戻る」と伝えないというアプローチを選んだことです。子どもによっては時計を見せて説明した方が良い場合もありますが、ケンタくんの場合は「気が付いたらお母さんがいない、でもまた戻っている」という方が不安が増さなかったそうです。
また、夫に協力を依頼し、夫といる時間を楽しい時間として設けることもセットで行いました。この取り組みの結果、母子分離が難しかったケンタくんは、3~4年経った今では1日離れていても大丈夫なまでに成長しました。
ケンタくんには偏食があり、保育園の時も食べられないものが多かったため、特別にヨーグルトなどを多く出してもらうなどの配慮を受けていました。
きなこさんは現在、偏食を無理に変えようとしないという対応を一貫して続けています。本人が「これなら食べられる」というものを毎回同じように出すという方法をとることで、食事に関するストレスを減らしています。これは、発達障害に関する専門家(本田秀夫先生など)が推奨する方法とも一致しています。
V. 保護者自身のメンタルケア:家族の幸せの土台作り
きなこさんの体験談で特に強調されていたのは、保護者自身のメンタルヘルスの重要性です。
きなこさんは、自分の体調不良の経験から、「今元気なうちに、自分のやりたいことをやる」ことの重要性を強く感じています。子どもが成長してから自分のやりたいことをやろうと考えても、体力が低下したり健康寿命が尽きてしまったりする可能性があるからです。
きなこさんは、自分の時間を確保するために、「この時間からは絶対に自分の時間」と決め、子どもにもその旨を伝えます。その代わり、子どもと遊ぶ時間やお話する時間はきちんと確保しています。ケンタくんもそのルールを理解し、「分かった」と言って母親の時間を尊重してくれるようになりました。
きなこさんは、子どもが寝た後に映画を見たり、本を読んだり、絵を描いたり、また出かけたりする時間を楽しんでいます。
心身ともに疲れてしまった時、きなこさんが最も効果的だと感じたのは**「環境を変える」**ことでした。
家族でホテルに泊まりに行ったり、旅行に行ったりと、非日常的な空間で好きなものを食べるなどして過ごすことが、リフレッシュに繋がったそうです。
過去に体調を崩した要因を振り返った際、きなこさんは「我慢しすぎた」ことが原因だと分析しています。自分の時間が欲しい、ゆっくりしたい、といった欲求を抑え込んでいたためです。
回復のために、きなこさんは「今、自分は何をしたいのか」と常に自問自答し、それを意識的に実践しています。「親が元気で楽しくしている方が、子どもも良い」という考えが、きなこさんの行動の根本にあります。
また、Branch(ブランチ)のコミュニティの中で、自分の悩みや楽しいことを言語化し、発信すること(自己開示)がメンタル回復に繋がりました。コミュニティで自分の気持ちを打ち明けることで、共感や具体的な解決策を得ることができ、自分の中に辛さを溜め込んでしまうことを避けることができました。
まとめ
小学一年生相当のケンタくんと、お母様のきなこさんの歩みは、発達障害や不登校という課題に直面した家族が、いかにして困難を乗り越え、幸せな生活を取り戻せるかを示す好例です。
集団生活の苦手さや感覚過敏といった子どもの特性を否定せず、ホームスクーリングという道を選び、「この子らしさ」を大切にしたことが、ケンタくんの「毎日が楽しい」という現在の姿に繋がっています。そして、オンラインでの居場所であるBranch(ブランチ)全国にいる仲間と繋がり、孤独感から解放されたことも大きな変化でした。
何より、きなこさんが体調を崩した経験から学び、我慢するのをやめ、ご自身のメンタルケアと健康を最優先にしたことは、家族全員の幸福の土台となりました。保護者の方が自分の時間を取り、活き活きと生活している姿は、そのままお子様の安心感に繋がります。
きなこさんの最後のメッセージは、「子育ては決して自分たちだけでやらないこと。周りの人(コミュニティや専門家)を積極的に頼ることが非常に重要です」というものでした。
不登校や発達障害のお子様を持つ保護者の皆様は、決してお一人ではありません。周囲のサポートを積極的に受け入れ、まずはご自身の心身の健康を守りましょう。そうすることで、必ずお子様にとって最善の道が開けます。このストーリーが、悩む保護者の方にとって、重たい扉を開ける鍵となることを願っています。
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」Branchコミュニティを運営していて、以下のような特徴があります。
- 同じように「学校行きたくない」という気持ちを抱え、家族以外の人との関わりが減ってしまった不登校のお子さま達が自分の「好きなこと」をきっかけに安心できる居場所や、友達ができるようなサービス。
- NHKや日テレなど多くのメディアにも紹介され、本田秀夫先生との対談や、厚生労働省のイベントの登壇実績もあり、サービス継続率は約95%以上。
- 小学校低学年のお子さまはもちろん、どんな子でも楽しく参加できるようにスタッフがお子さま一人ひとりに寄り添ったサポートを徹底。
Branchコミュニティは1ヶ月無料体験ができるので、ご利用を迷われている方は一度お気軽に無料面談予約をお申し込みください。








