
こんにちは。不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branch(ブランチ)です。
学校に行きたがらない。行っても、教室に入れない。ほんの小さな書き間違いで、自分をひどく責めてしまう。そんなわが子を前に、どう声をかけたらいいのか分からずにいる保護者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、小学5年生の超極絶覚醒破壊者(デストロイヤー)パクチー大好き最狂悪魔くん(ご本人が考えた仮名。以下、デストロイヤーくん)と、お母さんの約3年間の歩みです。1年生の3学期、ほとんどの時間を教室の外で過ごしていたデストロイヤーくん。好きな図工がある金曜日だけの登校は、やがて「行きたい授業」へと広がり、5年生では、前の年は全部休んだプールの授業にも参加できました。そのきっかけと、在宅で仕事をしながらお母さんが大切にしてきたことを伺いました。
この記事の要点
- 小学1年生の3学期、デストロイヤーくん(仮名)は行き渋りながら登校していたが、授業にはほとんど参加できず、教室の外で過ごす日が多かった
- 小さなミスで自分を強く責めてしまっていたデストロイヤーくんは、気持ちを大人に相談したり、別の方法に切り替えたりする力を少しずつ身につけ、4年生のころには「悔しかった」と言葉で伝えられるようになった
- 小学4年生のころは図工のある金曜日だけだった登校が、5年生では週1〜2回に増え、前の年は全部休んだプールの授業にも参加できた
- 5年生のデストロイヤーくんは、苦手な大きなボタンの克服を自分の目標に決め、中学校で制服を着る日に向けて、自分から挑戦を続けている
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| お子さん | 小学5年生・男の子(仮名:デストロイヤーくん) |
| 学校との関わり | 小学1年生の3学期ごろから行き渋り。いまは週に1〜2回登校 |
| 困っていたこと | 教室に入れないこと。小さなミスで自分を強く責めてしまうこと |
| 利用したサービス | Branch room(月1回)・オンラインのコミュニティ(2023年3月〜) |
| 好きなこと | ゲームづくり、マインクラフト、お菓子作り、AIでの創作 |
教室に入れない小学1年生。学校以外の居場所を、どう探した?
デストロイヤーくんの場合は、学校に教室での過ごし方を相談しながら、お母さんがオンラインで通える場所をいくつも調べました。
当時のデストロイヤーくんは、行き渋りながらもなんとか登校していました。ただ、3学期は特に授業に参加できず、ほとんどの時間を教室の外で過ごしていたそうです。
お母さんは自宅で仕事をしています。「子どもにとって、ほかの居場所が必要だ」。そう感じて、「フリースクール」「オンライン」といった言葉で検索し、いくつものサービスに資料を請求しました。探していたのは、「個性にあった学びを追求できる場」でした。
マインクラフトにお菓子作り、漢字に元素と、好きなことがたくさんあるデストロイヤーくん。その一方で、お母さんが気にかけていたのは、失敗への向き合い方でした。
完璧主義でどんな小さなミスでも自分が許せなくなります。
デストロイヤーくんとお母さんの毎日は、ここから少しずつ動き出していきます。
「生きる楽しみ」と話すほど、待ち遠しい場所ができた
最初の変化は、家の中と、月に一度の特別な場所から始まりました。
小学2年生の秋には、別のことをしながらなら教室で過ごせる日が増えていました。学校を休んだ日の家での学習も、始める前にイライラすることが減り、配られた漢字ドリルは全部やり終えていました。家で過ごすデストロイヤーくんには、たくさんの笑顔がありました。
家に居て好きなことをしている時はよく笑っています。
毎月のBranch roomは、何日も前から楽しみにする日になりました。オンラインでは、作ったお菓子をBranchのコミュニティに投稿し、コメントをもらうことが励みになっていきました。
3年生は、学校にあまり行けない時期もありました。それでもデストロイヤーくんは、学校に通っている子と同じ時間に寝起きする生活を続けていました。
そんな3年生のころ、デストロイヤーくんはBranch roomのことを「生きる楽しみ」と話していたそうです。学校でうまくいかないことがあっても、「次はいつ?」と待ちわびる場所がある。その安心感が、デストロイヤーくんの毎日を支える土台になっていったのではないでしょうか。
小さなミスで自分を責めてしまう子に、どんな変化があった?
デストロイヤーくんの場合は、責める気持ちとの「付き合い方」が、学年を追うごとに少しずつ増えていきました。
3年生の初夏、お母さんが感じていた変化はこうです。気持ちの切り替えや、自分の気持ちを大人に相談することが、できる回数が増えてきた。癇癪の数も減ってきた。苦手なことも、信頼できる大人には、怒る前に伝えられるようになった。
4年生になると、失敗したときに「まあいっか」と、以前ほど気にしないでいられる場面が出てきました。タイピングがうまくいかなかったとき、キーボードに当たっていた手を、クッションのような柔らかいものに向けられるようにもなりました。
そして、頭に血がのぼりそうなとき。暴れるのではなく、「悔しかった」と言葉にして伝えられるようになったのです。たった一言ですが、あふれそうな気持ちを言葉に置きかえられたことは、デストロイヤーくんにとって大きな一歩でした。
5年生では、癇癪を抑えたり、代わりの方法を自分で用意したりする姿が見られ、自分に向かいそうになった気持ちを途中で止める場面も出てきています。
責める気持ちが、すっかりなくなったわけではありません。それでもいまは「だいぶ抑えられるようになってきた」「些細なことはスルー出来るようになってきている」と、お母さんは話します。その目には、デストロイヤーくん自身が変わろうと頑張っている姿が映っています。
行き渋りのあった子が、登校する日を増やせたのはなぜ?
デストロイヤーくんの場合は、「この授業なら行きたい」と思える時間が、ひとつずつ増えていったことが入り口でした。
4年生の初夏、デストロイヤーくんが登校していたのは、好きな図工がある金曜日だけでした。週に一度でも、自分から「行きたい」と思える日がある。それは、学校とつながり直すための大切な足場です。
2学期になると、体育など、ほかの授業にも少しずつ参加できるようになりました。
5年生になると、学校に行ける頻度が増え、いまは週に1〜2回ほど登校しています。家庭科で調理実習が始まるなど、行きたい授業も増えました。
そして今年。前の年は全部休んでいたプールの授業に、参加することができました。
校長先生や担任の先生にも理解してくれる人が多く、クラスの子たちも変わらず理解してくれているといいます。学校に対する「行きたくない」気持ちは、以前より小さくなってきました。
図工の金曜日から始まった「行きたい」は、いまのデストロイヤーくんの登校を、確かに支えています。
苦手な大きなボタンに、自分から挑戦している
いまデストロイヤーくんが楽しんでいるのは、AIを使った画像や音楽、物語づくり。オリジナルのイラストでLINEスタンプを出すことが、いまの「やりたいこと」です。
そして、自分で決めた目標があります。デストロイヤーくんは大きなボタンが大の苦手。その恐怖症を克服することを、自分の目標にしているのです。中学校で制服を着ることを想定して、幼稚園のころの制服を取り出したり、大きめのボタンがついた服を着てみたりと、少しずつ挑戦を続けています。
誰かに言われたからではなく、自分で目標を決めて、自分のペースで近づいていく。小さなミスで自分を許せなかったころを思うと、苦手なことに自分から向き合うこの姿は、大きな成長そのものです。
Branch roomは、いまも「とにかく大好き」。次に行く日に向けて、マインクラフトのワールドを進めて待っているそうです。
お母さんが大切にしてきたこと
学校と相談して、教室での過ごし方を変えてもらう
教室にいることが難しかったころ、お母さんは学校に相談し、授業中にほかのことをしていてもよいことにしてもらいました。教室にいられないときに過ごせる場所も用意してもらっています。ハードルを下げたことで、少しずつ教室で過ごせる日が増えていきました。
学校に行かない日も、生活リズムは崩さない
学校に通っている子と同じ時間に寝起きする生活を、ずっと続けてきました。いまも朝は早く起き、夜は9時ごろに寝ています。
好きなゲームや動画を、できるだけ一緒に
ゲームや動画は、できるだけ一緒に見たり遊んだりしてきました。お菓子作りも、親子で一緒に楽しんでいます。デストロイヤーくんの笑顔のそばには、いつもこうした親子の時間がありました。
合わないと感じたら、合うほうに変えてみる
習い事は、全体で体を動かすクラスでは落ち着かなかったため、少人数で即興などをするクラスに変えました。いまはそのクラスを楽しめているそうです。
気持ちが崩れたときの落ち着き方を、一緒に探す
ぬいぐるみと一緒にいる。静かな部屋で毛布にくるまる。出かけた先でマッサージ機を試してみたら、とてもリラックスできて「新しい発見だった」そうです。
相談先を、ひとつにしない
学校のことはスクールカウンセラーの先生に、それ以外は通っている発達支援の教室に、と相談先を分けてきました。仕事と子育てを両立しながら見守るための、お母さんなりの工夫です。
仕事をしながら、自分なりの見守り方を見つける
Branchと出会ったころ、お母さんが聞いてみたかったのは「仕事をしながら、どのように見守っているか」ということでした。毎日が仕事とデストロイヤーくんとの時間とわずかな睡眠だけ、という時期もありました。いまは、デストロイヤーくんが学校に行っている間に仕事をし、お迎えのときに先生と話しています。祖父母も交えて遊ぶ時間は楽しく、最近はBranch roomの時間にお母さんが一人で動けるので、新鮮に過ごしているといいます。お母さんにも、少しずつ新しい時間が生まれています。
まとめ
教室の外で過ごしていた1年生から、プールの授業に参加した5年生へ。家で好きなことを続け、毎月の「次はいつ?」を楽しみにし、気持ちを言葉にする練習を重ねてきた、3年あまりの積み重ねです。
自分を許せなかった小さなミスにも、いまは「悔しかった」と言葉で向き合えるようになりました。図工の金曜日だけだった登校は、体育や調理実習、そしてプールへと広がりました。そしていまは、中学校の制服に向けて、苦手な大きなボタンにも自分から挑戦しています。
お子さんが自分を責める姿に、胸を痛めている保護者さんへ。好きなことをしているときの笑顔や、待ち遠しくなる場所は、次の一歩につながっていくことがあります。デストロイヤーくんとお母さんのお話が、そのヒントのひとつになればうれしいです。
この記事について
2023年3月〜2026年6月に行った保護者面談7回の記録をもとに、Branchのスタッフが構成しました。
お名前は仮名です。
最終更新:2026-09-25
発達障害や不登校の子の「友だちができる。安心できる居場所」とは?
Branchでも1つの解決策として、不登校・発達障害があるお子さま向けの「学校外で友だちができる」Branch home+を運営していて、以下のような特徴があります。
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