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【小学一年生、発達のデコボコ】「親に甘えているだけ」と学校に言われ、笑顔を失った娘が心を取り戻すまで

こんにちは。不登校や発達障害のお子さんと保護者さんのための居場所、Branchです。
お子さんが学校に行けなくなり、笑顔を失ったり、塞ぎ込んでしまったりする姿を見るのは、親御さんにとって言葉にできないほど辛いことだと思います。
しかも、その状況に対して「親に甘えているだけでは?」といった周囲の無理解に直面すると、どうしていいか分からず、ご自身を責めてしまうかもしれません。

今回お話を伺ったカオリさんも、娘のハルカさんが完全不登校になった際、非常に苦しい時期を過ごされました。

しかし、あるきっかけから親子の関わり方を変え、ハルカさんは本来の笑顔と自信を取り戻しつつあります。孤独を感じているすべての方へ、そのプロセスをご紹介します。

目次

1.ご家庭について

今回お話を伺ったのは、Branchをご利用いただいている保護者のカオリさんです。カオリさんの娘であるハルカさん(8歳)は、学校で受けたWISC(ウェクスラー式知能検査)の結果から、発達にデコボコがあることが分かっています。
ハルカさんは2023年6月頃から完全不登校となり、Branchは2023年11月頃から利用されています。現在、ハルカさんはYouTubeやマイクラ、ロブロックスが好きで、特に最近は塗り絵、絵、工作、粘土などの物作りにハマっています。

2.不登校に至るまでの経緯と初期の課題

ハルカさんは小さな頃から、人とのコミュニケーションを取るのが苦手でした。友達や先生から声をかけられても、逃げるようにその場から離れてしまう、常に友達とは少し離れた場所で一人で遊んでいるような子だったといいます。
小学校に入学する少し前、ハルカさんは皮膚の病気を発症し、心が不安定になっていました。入学後、学校で訴えていたのは、皮膚の病気で「じっと座っているのが痒くて辛い」ということ。また、「周りの声が気になりすぎて、先生の話が全く入ってこない」という感覚にも苦しんでいました。
これらのストレスにより登校しぶり(学校に行きたがらない状態)が始まり、休み時間に描いてくる絵には、全身に絆創膏を貼った自分の絵を描いて帰ってくるようになりました。
最終的な不登校のきっかけとなったのは、ある日の出来事です。登校しぶりの中で「2時間目まで頑張ろうね」と約束して登校した日。2時間目になり帰宅する準備をした際、先生から「もう1時間頑張ってみない?」と声をかけられました。ハルカさんは「帰ります」と伝えられず、帰宅後「もう行かない」と宣言し、完全不登校となったそうです。

3.笑顔が消え、「死にたい」と語った苦しい時期


不登校になった当初のハルカさんは、心身ともに非常に不安定な状態でした。とにかく笑顔がなくなり、夜中に「キャー」と叫んで起きる夜驚の症状も見られました。さらに、外では一切言葉を発しなくなるほど塞ぎ込んでいました。当時は「死にたい」という言葉を使うこともあったそうです。
カオリさんは学校側に状況を相談しましたが、当時の先生からは「まだ1年生なので、自分の気持ちを言語化するのが難しく、死にたいというワードを使っているだけでは」「親に甘えているだけではないか」という認識で受け取られてしまったといいます。学校側は、「とにかく学校にさえ来てくれれば、後はなんとかします」というスタンスでした。

4.親子関係の悪化とWISCによる特性理解

カオリさんは、娘の死にたいという言葉や笑顔のない姿を見て「ただ甘えているだけには見えない」と感じていましたが、先生からそう言われると「学校に行かせなきゃ」という思いが強くなってしまいました。
結果として、カオリさんはハルカさんを受け入れるよりも、先生の言葉に従い登校を促す対応を取ってしまったため、親子関係はどんどん悪化。
最終的にはハルカさんから「近づかないで」と言われるほど、親子の関係がギクシャクし、カオリさんにとって最も苦しい時期となりました。
この時、学校側からWISCを受けてみてはどうかと提案があり、検査を受けた結果、ハルカさんの発達のデコボコが判明しました。この客観的な情報が出たことで、先生方の考え方も変わり、学校側から「支援級はどうですか」と提案してくれるようになったといいます。

5.転換点:「子どもの世界に自分から入っていく」という決断

カオリさん自身も、学校に行かせようと焦って接している時のハルカさんの様子を見て、「今やっていることは絶対間違っている」という直感を感じていました。
カオリさん自身の過去の経験(親から話を聞いてもらったり肯定されたりした記憶がない)から、親が言うこと(学校に行きなさい)をやらなければならないという考えに囚われていましたが、Branchのコミュニティに投稿し、他の保護者から共感してもらうことで、「今の自分のスタイルは間違っている」ということを認められるようになりました。
そこからカオリさんは対応を180度変え、まずは「とにかく笑っていてほしかった」という一心で、親子関係の修復といった深いことは考えずに、ハルカさんの世界に自分から入っていくようにしました。
具体的には、ハルカさんが熱中しているゲームについて「何してるの?」「どうやったらそうなるの?」と積極的に質問し、一緒に遊ぶようになりました。カオリさんがハルカさんの世界に飛び込むと、カオリさん自身も楽しくなり、ハルカさんも「ママが自分のやっていることに興味を持っている」と感じ、辛かったことなどを話してくれるように変化していきました。

6.ハルカさんの世界:とことんハマる「研究心」と「創造性」


ハルカさんは、一度ハマったものにはとことんはまり尽くすタイプです。最近はスプラトゥーンに熱中していますが、ただ遊ぶだけでなく、その「研究心」にはカオリさんも驚いたといいます。
ハルカさんは、スプラトゥーンの全部の武器を使ってみて、それぞれの武器の射程距離や特徴を把握し、「これは射程が短いから近くの敵を倒しやすい」といった、武器ごとのポジショニングや立ち回りを自分で考えているのです。
さらに、その探求心は創造的な活動にも繋がっています。ハルカさんは、ネットから画像を引っ張り出してきて、スプラトゥーンの武器の図鑑を自分で作成しました。図鑑には武器の名前、特徴などが網羅的にまとめられています。カオリさんは、ハルカさんがこのような「図鑑化」というアウトプットをするのは、「大好きなママが自分の好きなことに興味を持ってくれているから、もっと分かりやすく理解してほしい」という欲求があるからだと感じています。
また、物作りが苦手なカオリさんに、お気に入りのぬいぐるみの家(ダンボール工作)の作り方をハルカさんが得意げに教えるといった、役割の逆転も起こっています。カオリさんが「どうやって作ったらいいの?」と尋ね、ハルカさんの指示(指示)に従ってカオリさんが切る、という共同作業を通じて、ハルカさんは自信をつけていきました。

7.改善された親子関係と母子分離不安の軽減


カオリさんがハルカさんを受け入れ、心から笑える環境を作った結果、ハルカさんには「安心」が生まれ、状況は大きく好転しました。
現在は、だいぶ心が元気になり、笑顔も多く見られるようになりました。また、以前は深刻だった母子分離不安も軽減しています。不登校当初はカオリさんがトイレに行くのさえ「ママ、ママ!」とドアをガンガン叩くほどひどかった症状が、今では一人で地元のフリースクールに週3回通えるようになり、カオリさんが短時間買い物に行くことも待てるようになりました。
以前は学校の先生に全く言葉を発することができませんでしたが、今では放課後投稿の際に同じ先生に会っても、「おはようございます」ときちんと返事ができるようになっています。

8.母親自身の変化とメッセージ

カオリさんは、ハルカさんが不登校になったことが、「自分自身の育児を見直すきっかけになった」と語ります。カオリさん自身、親から話を聞いてもらったり、一緒に遊んでもらったり、肯定されたりした経験がほとんどなかったため、大好きなはずの我が子に愛情の伝え方が分からず、もどかしい思いをしていました。
しかし、Branchなどで安心できる居場所を見つけ、子どもの世界に飛び込み、一緒に楽しむことで、親子関係は大きく改善しました。
カオリさんは、不登校は問題ではなく「選択肢」だと考えています。子どもが休むという選択肢を受け入れてあげるためには、まず親である私たちが誰かに共感してもらい、受け入れてもらえる場所**を持つことが非常に大切です。そうすることで親の心にも余裕が生まれ、子どもの選択を受け入れることができるようになるといいます。

まとめ

本記事では、小学一年生で完全不登校となり、発達のデコボコやコミュニケーションの困難さに悩んでいたハルカさんと、そのお母様であるカオリさんの回復までの道のりを紹介しました。不登校初期は学校側の認識と親の直感のズレに苦しみ、親子関係も悪化しましたが、カオリさんが「子どもの世界に自分から入っていく」という勇気ある一歩を踏み出したことで、状況は一変しました。
親が子どもの興味を認め、一緒に楽しむことで、子どもは安心感と自信を取り戻し、以前は困難だった母子分離不安の軽減や、フリースクールへの通所が可能になりました。不登校の状況にある時、親御さんが孤立し、自分を責めてしまうことは少なくありません。私たちBranchは、親御さん自身が共感や理解を得られる居場所を持つことが、結果としてお子さんの回復につながると確信しています。

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ライター/著者プロフイール

中里 祐次のアバター 中里 祐次 代表取締役

Branch代表。早稲田大学卒業後、㈱サイバーエージェント入社。子会社の役員など約7年勤めた後にサイバーエージェントから投資を受ける形で独立。自分の子どもがレゴが好きで、東大レゴ部の方に会いに行った時に目をキラキラさせていたのを見てこのサービスを思いつきました。好きなことは、漫画やアニメを見ること、音楽を聞くこと、サウナ、トレイルランニング、かなり多趣味です。Branchの子どもたちに鍛えられて子どもが好きな遊びはたいていできるようになりました。

会社概要

Company

社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


所在地

〒150-0034 東京都渋谷区代官山町9-10 Sodacco 2T02


株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


会社概要

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社名

株式会社WOODY


代表取締役

中里祐次


設立

2013年11月11日


所在地

〒150-0034 東京都渋谷区代官山町9-10 Sodacco 2T02


株主

㈱サイバーエージェント、㈱ウィザス、ANRI、レジェンドパートナーズ、笠原健治氏、乙武洋匡氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中里、その他エンジェル投資家


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